‘上海スキャンダル’の主人公、鄧新明（３３）の武器は「誘惑」と「脅迫」だった。実際、上海では鄧新明が意図的に韓国の歴代領事に接近したとしか考えられないようなことが起きていた。

鄧新明と不適切な関係にあった上海総領事館のＨ領事（４２、法務部所属で１月に辞表提出）が鄧新明と初めて会ったのは０９年５月。当時、鄧新明とＨ領事の車の接触事故が発生した。その後、鄧新明は流ちょうな韓国語を話しながらＨ領事と親しくなり、誘惑したというのが、総領事館関係者らの証言だ。総領事館の関係者は「意図的に鄧新明が交通事故を起こした」と話した。

Ｈ領事はソウル大経済学科を卒業し、国家試験に合格したエリート官僚だった。盧武鉉（ノ・ムヒョン）政権時代には青瓦台（チョンワデ、大統領府）民政首席室行政官、康錦実（カン・クムシル）法務部長官の秘書を務めた。Ｈ領事が総領事館で担当していた業務は「ビザ申請代理機関指定」。代理機関になると、ビザ申請手数料として１人当り３００元（約３８００円）を受けるなど大金を稼げる。

Ｈ領事と内縁関係を持った鄧新明は総領事館に「ビザ申請代理機関指定」を要請した。鄧新明は当時の金正基（キム・ジョンギ）総領事にも同じ要請をした。代理機関指定に反対した領事には「子どもに注意しろ。あなたは終わった」と脅迫したという。

こうした中、鄧新明はＨ領事の前に不適切な関係を結んだＫ領事（知識経済部所属）だけでなくＨ領事からも覚書を受けた。Ｈ領事が書いた誓約書は「お互いしてはいけないこと」と題され、鄧新明との愛情を守るためＨ領事が注意すべきことなどを羅列した内容だと、政府関係者は伝えた。

Ｈ領事との関係を維持するために鄧新明は昨年１０月、Ｈ領事の夫人を訪ね、「子どもを誘拐する。すべてをあきらめて早く帰国しろ」と脅迫したという。Ｈ領事の夫人は中央日報の記者に「上海にいる時、あるマンションに貼り紙があったが、私の写真があり、中国語で‘Ｘのような韓国人’と書かれていた」とも話した。鄧新明が夫人を上海から出て行かせるために脅迫したということだ。

Ｈ領事は辞表が受理され、１週間後の２月１日に退職金を受けて中国へ出国した。Ｈ領事は法務部で監察を受けた当時、「鄧新明は前世に縁があったような人だが、今になって会った。中国に行って一緒に暮らす」と話したと、法務部の関係者が伝えた。現地のある海外同胞は「鄧新明とＫ領事が車に乗って行く姿をＨ領事が目撃し、車を止めさせた後、Ｈ・Ｋ領事が争ったこともある」と話した。


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