「お年寄りのための国」はなかった。今のカスピ海沿岸に住んでいた古代カスピ族は70歳が過ぎると皆、飢え死にさせた。遺体を原野に捨てた後、どんな獣が持って帰るかで運を占ったりした。ワシに運ばれるのがいちばん運がよく、野獣がその次。どんな動物も接近しなければ運が悪いと考えた。米大陸原住民の場合、年寄りたちにつらいことをさせ、力を失わせて死に至らせた。北極海一帯のエスキモーたちは老けて自ら食べものを求められなければ首を締めて殺すとか群れが移住するときに残して去った。東洋も例外ではなく、女真族は1人で身動きできない老父母を袋に入れた後、木の枝にかけて弓を射った。ただ一発で死に至れば親孝行とほめたたえられたという。