ここ約20年間、自殺による死亡が増加し、自殺は個人の次元を超えて共同体の安定を脅かす深刻な社会的問題だといわれるまでになった。最近相次いで発生した集団自殺の惨状を見ればなお感じる。いまだに国内では集団での自殺に対する体系的な統計調査ができていない。ただ外国の場合を見れば、集団での自殺は自殺による全死亡者の0.6~4.0%で、非常に珍しいものといわれている。しかし集団自殺は家族や友達、死亡者たちが属する共同体に及ぼす波及効果が非常に大きいことから衝撃を加えている。
これまで誰かをともなっての自殺は、夫婦や恋人のように親密な関係にあるとか、ほかの人々との交流がほとんどなくて孤立した状態にある人々のケースが多かった。しかしこれからはサイバー空間で互いにまったく面識もない人々が一緒に自殺していることから、非常に懸念される。サイバー空間は自殺の方法に対する情報を提供する道具として活用され、生の危機に置かれる、または自殺の衝動に抵抗する力の足りない人々に脅迫的な存在となって定着している。したがって自殺の危険に脆弱で社会的に孤立した人々が心中を目的とする閉鎖的な関係の中に露出された場合、自殺の誘惑から脱却することはますます難しくなる。一方、かなり多数のメディア記事も死や自殺を考える人々に意図的ではないが自殺に対する情報を提供する可能性も高く、心配になる。社会的に影響力ある有名人の自殺だけではなく、普通の人々の自殺に関する繰り返し、あるいはエロチックな見出しの報道もほかの人々の自殺に影響を与えるからだ。