日本は世界初・最高という言葉を好む。 繁華街から少し離れた東京・新宿の家の近くのラーメン屋にも「日本で一番麺が細いラーメン屋」と書かれている。 当初はただの「最初・最高好き」と軽く考えていた。 しかしこれが日本の底力の断面であることに気づいた。 日本ではどこにでもあるラーメン屋でも各店が特性を生かしている。 入っている野菜も違うし、スープの味も他の店と差を出す。 麺の太さでも違いを出すのだ。
最初・最高になるには一つの分野で研究を続けなければならない。 日本人がよく言う「一所懸命」という言葉は職人精神を圧縮している。 一つの所で命を懸けて最後までやり遂げるということだ。 こうして特定分野の専門家になれば「オタク」という別称を得る。 自分の分野に没頭するという意味のこうした「オタク人間」は日本では300万人にのぼると推定される。 オタクはいつもメディアの注目を受け、尊敬の対象になったり伝説になる。
最近、ある放送番組が紹介した古野兄弟もオタクだった。 古野兄弟は原子爆弾が落ちた長崎で小さな電気商店を営んでいた。 当時、漁業は経験と六感でする職業だった。 漁獲量は少なく、魚の価格も高かった。 漁船に電気設備を設置していた古野兄弟の商売もうまくいっていなかった。 ある日、「泡が上がってくるところには必ず魚がいる」という客の言葉が兄弟の脳裏を刺激した。 「魚を探す装備を作ろう」と。