国際通貨基金(IMF)は9月下旬の時点で、世界金融機関の損失は総額1兆3000億ドルにのぼる、と推算した。 しかしこの金額は今まで何度も修正されているため、さらに増える公算も大きい。 市場関係者もこの程度の金額で収拾する状況ではないと悲観的に見ている。 現在としては、米国発金融危機を収拾するのに必要な費用は過去の日本をはるかに上回るのは明らかだ。
米国政府も危機を克服するのに‘失われた10年’の教訓を活用した。 過去の日本政府がとった治療法と似たものだ。 速度は10倍速い。 日本が不良債権処理のために使った金融安定化対策は大きく3段階。 まず資金を大量供給し、短期金融市場で銀行間の資金取引を円滑にさせる流動性供給を実施した。資金難のため銀行が連鎖破綻するのを防ぐための緊急措置だった。
次は不良債権の買い取りだ。 民間銀行の共同出資または公的資金を投入する方法で不良債権回収機関を設立し、不良債権を銀行の貸借対照表から分離した。 最後の段階が、不良債権の処理過程で資本が減った銀行に公的資金を投入する措置だ。