国防部が時代錯誤的発想から脱することができていない。ベストセラーを不穏な書籍として軍内搬入中止という幼稚な措置を取った国防部が、今度は高校教科書改正案に全斗煥(チョン・ドゥファン)政権を美化する内容を加えた。問題になるとして撤回はしたが、国防部の認識に深刻な問題があることが、いま一度確認されたのだ。
現行教科書には歴史的事実まで歪曲させながら大韓民国の伝統性を棄損し、北朝鮮を美化する部分が少なくない。韓国の経済成長には否定的立場を見せ、北朝鮮の韓国戦争勃発責任はあいまいにした。したがって国防部がこうしたところを改正しようとする意見は正当だ。李承晩(イ・スンマン)政権に「共産主義拡散防止寄与」という評価を下したことは妥当性がある。しかし全斗煥政権の本質には目をつぶって「一部の親北朝鮮左派の活動を遮断した」という肯定的評価は不合理説だ。全政権は「反民主暴力政権」だった。武力で軍の位階秩序を崩し、光州虐殺をほしいままにした。強圧的に言論統廃合を推進した。不正腐敗の悪臭も振りまいた。親北朝鮮左派の活動を遮断したのではなく、その軍事政権の結果で左派が跋扈した。こんな政権に好意的な見方を見せるとは、国防部の首脳もその時代をしのんでいるのか問いたい。