【コラム】「デジタル核兵器」を手にした米中AI全面戦(2)
4番目に、中国の高性能AIモデルに対する輸入制裁論も台頭する。先月中国のムーンショットAIが公開した超巨大AIモデル「Kimi K3」は、「第2のディープシーク・ショック」と呼ばれるほど大きな衝撃だった。Kimi K3がフロンティア級の高性能という事実は驚くべきものだった。これに対し米国は中国のAIモデルに対する全般的輸入制裁を検討していることがわかった。中国企業が米国のAIモデルからデータを抽出する「蒸留」技法が問題視された。中国のオープンウェイトAIモデルに対する輸入制裁は米国内でも論争を呼び起こした。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは米国政府の中国AIモデル遮断はむしろ米国の競争力を弱めると警告した。このような議論はエージェントAIの次の戦場とされるフィジカルAI分野にも広がることが予想される。
最後に、AIモデルで火が付いたAI地政学競争がさまざまな層位を合わせたAIフルスタック競争に拡張されている。米国はすでに昨年にAIフルスタック戦略を発表した。マイクロソフトとグーグルの技術覇権に続き、AI時代にエヌビディアによる「GPU覇権」の歩みは尋常でない。中国もかなり前から独自のフルスタック発想を隠していない。米国の輸出入制裁を耐え忍んだファーウェイは自社製品の「エージェント生態系」を土台にした「5G/6Gインフラ天下」を夢見る。