【中央時評】人間尹錫悦、大統領尹錫悦を倒す
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.12.18 14:14
モスクワのトレチャコフ美術館にはロシア写実主義の画家イリヤ・レーピンが描いた名画がある。「イワン雷帝とその息子」という1885年の作品だ。息子の妻の問題で息子と言い争いになり、瞬間的に怒りを抑えられなかったツァーが息子の頭を棒で殴った後、後悔して倒れた息子を抱き上げながら絶叫する場面だ。3日後に息子は死亡し、雷帝と呼ばれたツァーも失望の末3年後に亡くなった。1581年に発生したこの事件は結局、王朝の没落につながった。権力者の憤怒調節障害が呼んだ史上最も有名な悲劇だ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳宣言は現代政治史の最も大きなミステリーとして記録されるほどのものだ。憲法上の戒厳宣言要件は「戦時・事変またはそれに準ずる非常事態」だ。尹大統領が政局状況を本当にそのように考えたとすれば、数日後の談話で戒厳を『警告性』と意味を縮小しなかったはずだ。極右勢力を結集しようという政治的な計算だったというのも疑わしい。1次弾劾議決が推進された7日、尹大統領は気勢が折れたように「任期を含む政局安定案をわが党に一任する」と述べた。しかし2次弾劾議決を控えて「立ち向かって争う」と立場を変えた。支持勢力の結集を意図したものだというには説得力が落ちる。