車載ディスプレー市場の成長の勢いが増している。自動車のスクリーン化が進み、搭載されるディスプレーのサイズが拡大し、数量も増えているからだ。ディスプレー企業は従来の主力事業だったテレビとスマートフォン市場が飽和状態に達し、成長の可能性が高い車両用市場に力を注いでいる。

市場調査会社オムディアは６日、今年のグローバル車載ディスプレー市場規模について、以前の予測を１４％上方修正した１１７億１９５４万ドル（約１兆８１２０億円）と予想した。オムディアは四半期単位で一年の予測値を修正するが、その幅は通常１－３％。しかし今回は異例にも２けたの上方修正となった。直前の予測値は１０３億２０９６万ドルだった。オムディアは今年の出荷量も約２億３０２８万台と、直前の予測（２億５１２万台）を約１２％上方修正した。

◆家庭用テレビに似ていくディスプレー

電装用ディスプレー市場の成長が速いのは自動車の「スクリーン化」の影響が大きい。最近の自動車業界のトレンドは、車両ソフトウェアを通じて各種機能を制御して走行性能、安全・便宜仕様を持続的にアップデートする「ソフトウェア中心車両（ＳＤＶ）」だ。自動車があたかも動くスマートフォンのような電子機器に変わり、車両に搭載されるディスプレーの重要性も高まっている。

特に最近は１０－２０インチの大型画面が車両に搭載される。数年前までは５－７インチ画面が搭載されたが、より大きな画面を好む自動車企業の需要が増えているからだ。オムディアは全体車載ディスプレー売上高のうち１０インチ以上の超大型製品が占める比率が２０２１年の４４．２％から２７年には８０％まで増えると予想した。また、高画質コンテンツを鑑賞したりゲームを楽しんだりする車載インフォテイメント機能が重要になり、有機発光ダイオード（ＯＬＥＤ）のような超高画質の需要も増ている。

こうしたトレンドに合わせて韓国企業も忙しく動いている。ＬＧディスプレイはＳＤＶ車両に最適化した超大型ソリューションを積極的に攻略してきた。年初に開催された世界最大の情報技術（ＩＴ）・家電展示会ＣＥＳ２０２４で、運転席から助手席までダッシュボード全体を覆う世界最大サイズ５７インチの車載ＬＣＤも公開した。ＬＧディスプレイは２０１８年から１０インチ以上の大型車ディスプレー市場で１位を守っている。同社の関係者は「車載ディスプレーは運転者の安全と直結していて、安全規格と明るさ・タッチなどで厳格な品質が要求されるだけに、中国など競合他社より技術力が上回っているという評価を受ける」と説明した。

車載ＯＬＥＤ事業も積極的に拡張中だ。ＬＧディスプレイは２つの有機発光層を重ねて従来に比べて高輝度、長寿名など耐久性を高めたタンデムＯＬＥＤ素子を業界で初めて開発した。昨年、画面の明るさと寿命を高めて消費電力を約４０％低減した「第２世代タンデムＯＬＥＤ」を量産し、今年は第３世代製品を開発する予定だ。こうした技術を基盤にＬＧディスプレイはキャデラック、メルセデスベンツ、ボルボ、ランドローバー、ジャガー、ポルシェ、ＧＭ、ジェネシスなどグローバルプレミアム自動車１０ブランドに車載ＯＬＥＤを搭載した車を販売または開発中だ。

世界で初めてＯＬＥＤを量産し、スマートフォン用ＯＬＥＤの成長を牽引したサムスンディスプレイは電装用ＯＬＥＤ市場も主導する戦略だ。同社の関係者は「ＯＬＥＤは軽くてスリムな構造と薄いベゼル（枠）でデザイン拡張性が優れ、完ぺきなブラックと深い明暗表現が可能だ。特にＯＬＥＤの低電力特性は電気自動車のドライビング効率を高める」と説明した。同社は昨年初めのＣＥＳ２０２３で３４インチ大画面のニューデジタルコクピット（デジタル計器盤）を公開した。画面の左右が曲がるベンダブル技術を搭載し、運転する時は運転者が走行に集中し、エンターテインメント用として活用する時には最適な視聴距離を提供できる。サムスンディスプレイは来月、ＢＭＷグループのＭＩＮＩが出す純粋電気自動車モデル「ニューオール・エレクトリックＭＩＮＩカントリーマン」および「ニューオール・エレクトリックＭＩＮＩクーパー」に円形ＯＬＥＤを供給し、最近はフェラーリとの技術協力のための了解覚書（ＭＯＵ）も締結した。中国電気自動車スタートアップの理想、現代車などと協業をしている。

◆高齢化する市場で唯一の成長

過去５年間、ディスプレー産業は足踏みまたはマイナス成長だった。グローバル市場は２０２１年の１５７８億ドルをピークに下降した。２０２７年まで収益増加率も２－４％にとどまるという予想だ。産業の成長が停滞する中、車載ディスプレーはほぼ唯一大幅成長する新市場だ。業界関係者も「電装用ディスプレー市場はすぐには収益性に大きな影響を与えないが、成長していく市場であり、業界全体が期待している」と話した。