タイ戦のキックオフの前、「下剋上」問題で物議をかもした李康仁（イ・ガンイン、パリ・サンジェルマン）が電光掲示板で紹介されると、観客席からは歓呼と拍手が起きた。一方、各種問題にまともに対応できなかった大韓サッカー協会（ＫＦＡ）と鄭夢奎（チョン・モンギュ）会長ら首脳部に向けては批判の声が出てきた。

臨時でＡ代表チームを引き受けた黄善洪（ファン・ソンホン）オリンピック（五輪）代表監督が率いる韓国代表は２１日、ソウルで行われた２０２６国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）北中米ワールドカップ（Ｗ杯）アジア２次予選第３戦でタイ代表と１－１で引き分けた。

この日の試合は主将の孫興慜（ソン・フンミン、トッテナム）と李康仁が衝突して以降、最初のＡマッチとして関心を集めた。

ファンは孫興慜はもちろん、李康仁が紹介されると、大きな拍手を送った。ただ、孫興慜が先発出場したのに対し、李康仁はベンチスタートとなった。

選手に対しては熱を帯びた応援があった中、サッカー協会と鄭会長に向けては批判の声が出てきた。競技場を埋めた韓国代表サポーター「プルグンアンマ（＝赤い悪魔）」は国歌斉唱に合わせて大きな太極旗（韓国の国旗）を広げた。その後、太極旗が消えた場所には鄭夢奎会長を非難するカードが現れた。

ファンは一斉に「鄭夢奎出て行け」と連呼しながら、鄭夢奎会長の辞任を要求した。また団体で「鄭夢奎ＯＵＴ」と書かれた紙を掲げて怒りを表した。

ファンは試合前、「ＫＦＡは鄭夢奎の所有物」「夢奎がいるサッカー協会に未来はない」など、鄭会長はもちろんサッカー協会首脳部を批判するカードいくつかを掲げた。

これに先立ちサッカーファンはサッカー会館の前でデモを行うなど協会指導部を非難する声を高めてきた。プルグンアンマは今回のパフォーマンスを企画し、１５日前からカードを制作して反対デモのスローガンを準備したという。

李康仁は「２０２３アジアサッカー連盟（ＡＦＣ）アジアカップ」準決勝のヨルダン戦を翌日に控え、一部の選手と卓球をしようとしたが、これをやめさせる孫興慜と物理的に衝突し、衝撃を与えた。

これに関連し李康仁は前日（２０日）、頭を下げて謝罪した。李康仁は「アジアカップ期間に多くの方々の関心、応援を受けながら、それに報いることができず失望させて申し訳なかった」と述べた。

孫興慜も「李康仁選手がすべての選手の前で自分がどんな行動をし、何が問題だったか、誠意を込めて謝罪した」とし「謝罪には勇気が必要で、李康仁選手が勇気ある姿勢を見せ、選手たちもこうした気持ちを確実に受け入れたのではないかと思う。選手みんなが団結する契機になったようだ」と伝えた。

一方、「霜降り牛肉」という批判があった代表チームの新ユニホームは５００枚すべてが現場で売れた。