チームの内紛を解消するだけでは十分でなかった。黄善洪（ファン・ソンホン）臨時監督が率いるサッカー韓国代表は２１日、ソウルワールドカップ競技場で行われた２０２６北中米ワールドカップ（Ｗ杯）アジア２次予選Ｃ組第３戦で格下のタイ代表を相手に苦戦し、１－１で引き分けた。「キャプテン」孫興慜（ソン・フンミン、トッテナム）が前半４２分に先制ゴールを決めたが、後半１７分にタイのスパナット・ムエンターに同点ゴールを許した。

韓国は国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）ランキング２２位で、タイは１０１位だ。この日の試合前まで韓国のタイ戦の成績は３０勝８敗７分けだった。予選２勝１分けとなった韓国（勝ち点７）はＣ組トップを維持した。

黄善洪監督はＡマッチ（国家対抗戦）デビュー戦で勝利を逃した。本業がＵ－２３（２３歳以下）代表の指揮官である黄監督は、前任のユルゲン・クリンスマン（ドイツ）監督が先月のカタールアジアカップ直後に更迭されたことで、臨時的にＡ代表チームを率いて今月のタイ代表とのＡマッチ２連戦を指揮することになった。この日の試合はアジアカップ以降に代表チームが行った最初の試合だった。

韓国代表チームは最近の相次ぐ事件・事故で沈んでいた雰囲気を変えるのに失敗した。先月カタールアジアカップで６４年ぶりの優勝に挑戦した韓国代表は準決勝でヨルダン代表に破れて敗退した。大会直後にはクリンスマン監督が就任１年で成績不振のため更迭された。さらに準決勝の前日に李康仁（イ・ガンイン、パリ・サンジェルマン）が主将の孫興慜ともみ合いになった事実が明らかになり、ファンの批判を受けた。孫興慜はこの過程で指をけがした。アジアカップ準備期間中に大韓サッカー協会の職員と一部の選手らがカジノに使用されるチップを置いてカードゲームをした事実までが伝えられ、また世論が悪化した。

黄監督は今回の対戦を準備しながら、崩れたチームワークを立て直すことに焦点を合わせた。アジアカップ期間、先輩らと物理的衝突を起こした李康仁は代表チームに招集された１９日、チームメートの前で謝罪した。選手らも許した。李康仁は翌日、取材陣の前で「公式謝罪」をした。李康仁はこの日、ベンチスタートだった。しかし代表チーム内の雰囲気を改善するだけでは十分でなかった。競技力は依然として振るわなかった。

黄善洪監督が率いる韓国代表は試合序盤からタイ代表の速い攻撃とプレスに苦戦した。パスミスまでが重なり、攻撃を継続できなかった。ベテランストライカーの朱敏圭（チュ・ミンギュ、蔚山）が前方にいたが、パスをほとんど受けることができなかった。朱敏圭はこの日、歴代最高齢Ａマッチデビュー記録（３３歳３４３日）を更新した。従来の最高齢デビュー記録は１９５４年のスイスＷ杯トルコ戦で３２歳１６８日の年齢で初めてＡマッチに出場した故ハン・チャンファ・コーチだ。朱敏圭は２０２１年と２３年にＫリーグ１の得点王になったが代表チームに招集されず、黄監督の抜てきで生涯初めて太極マークを付けた。

試合のもどかしい流れは前半４２分、エースの孫興慜が変えた。ペナルティボックス左側を食い込んだ李在成（イ・ジェソン、マインツ）のカットバックを孫興慜が左足でシュートし、ゴール右隅に決めた。孫興慜はこれまでの気苦労を吹き飛ばすように「アッパーカット」パフォーマンスをして喜んだ。６万５０００万人の観客は孫興慜コールをしながら熱狂した。孫興慜は１２４回目（４５得点）のＡマッチ出場で、故ユ・サンチョル仁川ユナイテッド名誉監督、金鎬坤（キム・ホゴン）大韓サッカー協会サッカーサランナヌム財団理事長と並んでＡマッチ出場５位タイになった。

しかし韓国のリードは長く続かなかった。反撃に出たタイに後半１７分、同点ゴールを決められた。黄監督は鄭優営（チョン・ウヨン、２５、シュツットガルト）の代わりに李康仁を投入した。李康仁がグラウンドを踏むと、観客は歓呼とともに李康仁の名前を連呼した。激励の意味だった。後半２６分に李康仁のパスから孫興慜がシュートをすると、ファンは両選手に熱い拍手を送った。

李康仁が加勢しても韓国は突破口を開くことができなかった。後半の終盤に激しく攻めたが、ゴール決定力を欠いた。韓国代表は２２日にタイに出国し、２６日にバンコクのラジャマンガラスタジアムでタイ代表とのＷ杯２次予選第４戦を行う。