【中央時評】金正恩の戦争、プーチンの戦争(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.02.28 14:27
1970年代後半、ソ連共産党機関紙プラウダ(Pravda)はペットに肉類を食べさせるのをやめようという異色のキャンペーン記事を掲載した。米国の専門家らはこれをソ連政権のプロバガンダと解釈した。犬や猫にも肉を食べさせるほどソ連はもう消費でも米国に追いついたことを宣伝しようと偽りの記事を書いたと考えた。しかし記事は虚構ばかりではなかった。肉類の価格があまりにも安いため、肉を買ってペットに食べさせる人たちもいた。しかしさらに重要な真実は隠した。肉類の価格が安い理由は政府の莫大な補助金のためだった。生活必需品の価格は一定であるべきという共産主義の理念からソ連は1970年代末に国民総所得の7%を食品価格を抑える補助金として使用した。その結果、増える財政赤字と不足する投資財源で経済は崩れていた。プラウダは内部の苦痛を隠し、一部の事実だけを外部に表して全体像を歪める狡猾さを見せた。そして米国の専門家らは隠された真実を把握できない失敗を犯した。
独裁者の権力基盤は外でなく内にある。戦争や外部の介入が迫っていない状況で、独裁者の行動と政策の大半は内部に向かう。この内部を知らなければ、独裁者のすべての言動を対外用と解釈する過ちを犯すことになる。では何が金正恩(キム・ジョンウン)委員長の口から韓国を焦土化するという言葉を出させたのか。新年初めから西海(ソヘ、黄海)北方限界線(NLL)に砲撃を敢行させたのか。先代の遺訓である南北統一までも捨てて敵対的な2国家、さらには韓国征服にまで言及させたのか。