米国がロシアの金脈を枯らす強力な追加制裁を予告した。ウクライナ戦争が丸２年続き、ロシア野党圏活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏が１６日に亡くなったことに対する責任がロシアのプーチン大統領とその政府にあるとしながらだ。

欧州もロシアに対する追加制裁協議に着手することから、ロシアに対する西側の圧迫が強まる様相だ。

ＡＰ通信などによると、米ホワイトハウス国家安全保障会議（ＮＳＣ）のカービー戦略広報調整官は２０日（現地時間）、オンラインで行った記者会見で「プーチン大統領とその政府はナワリヌイ氏の死亡に対して明らかに責任がある」とし「バイデン大統領の指示により、ナワリヌイ氏に起きたことと２年にわたる邪悪かつ残忍な戦争過程でのすべての行動に対してロシアに責任を負わせる重大（ｍａｊｏｒ）制裁パッケージを２３日、発表する」と明らかにした。

今回の制裁はロシア軍需産業に打撃を与え、ロシアに流入する資金源を遮断することに集中するものとみられる。サリバン大統領補佐官（国家安全保障担当）は「（重大制裁パッケージで）ロシア軍需産業の各部門に適用される相当な規模の制裁を加える」としながら「ロシア経済やロシアの軍事装備、ロシアの敵対行為および圧制を支える資金の源泉にも制裁を加える」と述べた。

ナワリヌイ氏の死亡前から米国はロシア制裁を準備中だった。米国政府高位関係者はこの日、ロイター通信に対して「ウクライナ戦争から丸２年を迎えて制裁案はすでに計画しており、ナワリヌイ氏の死亡を受けて制裁内容を補完する」と説明した。

米国としてはナワリヌイ氏の死亡とは関係なくロシアに対する強力な制裁の必要性が大きかった。ウクライナ戦争が２年間続いているが、ロシアが予想を越えて持ちこたえているためだ。米国と西側同盟国は２０２２年２月、ロシアがウクライナを侵攻してからさまざまな制裁をロシアに加えてきた。多数のロシア個人と法人を制裁リストに入れて西側との取り引きを阻み、ロシア中央銀行の資金を凍結してロシアの商品輸出を禁止したり、国際銀行間通信協会（ＳＷＩＦＴ）の電算網からロシアを退出させたりすることなどが代表的だ。主要７カ国（Ｇ７）や欧州連合（ＥＵ）、オーストラリアなどは２０２２年１２月からロシア産原油に１バレル当たり６０ドル以上で取り引きしないようにする価格上限制も実施している。

だが、西側の制裁にもロシアは過去２年間で経済的自立を実現したという評価を受けている。「戦時経済」に変貌し、インドなどに原油を輸出をしながら資金を確保した。米シンクタンク「ランド（ＲＡＮＤ）研究所」によると、昨年ロシア連邦政府の歳入は歴代最大の３２００億ドル（約４８兆円）を記録し、今年もさらに増えると予想される。国際通貨基金（ＩＭＦ）もロシア経済が昨年３％成長し、今年も２．６％まで成長すると展望した。

これに対して専門家は米国が新規制裁でロシア経済の足を再び引っ張る試みようとすると予想している。米シンクタンク「外交問題評議会（ＣＦＲ）」のスティーブン・セスタノビッチ上級研究員は「米政府が（制裁を通じて）ロシア原油輸出に適用する価格上限ラインを今より低くするかもしれない」と予想した。その他にも米国と欧州で凍結されているロシア中央銀行資金の没収、ロシアと取り引きするトルコやアラブ首長国連邦（ＵＡＥ）など第三国企業に対する制裁なども新規制裁カードに挙げられている。

一方、欧州もロシア制裁を議論する方針だ。Ｇ７循環議長国を受け持っているイタリアは、２４日でウクライナ戦争３年目を迎えてロシアに対する追加制裁を議論する。ウクライナのゼレンスキー大統領も今回の会議のオンライン討論に参加すると予想されている。ＡＦＰ通信によると、イタリアは声明を通じて「欧州は新しい制裁パッケージをはじめ、米国も制裁強化を承認するだろう」と明らかにした。財務省のネルソン財務次官（テロリズム・金融情報担当）も現在欧州を回ってロシア新規制裁を議論中であることが分かった。