「ディズニー映画さえ選んでおけば失敗はない」はもう通じない(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.02.13 15:54
そんなディズニーにまた危機が訪れている。人種・性別・宗教・ジェンダー志向・障がいなどの偏見を排除するという「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ、PC)」が発端だった。アイガー氏の就任後、ディズニーはPCを重視した。2007年実写映画『魔法にかけられて』で白馬に乗った王子様を拒否して自分で幸せをつかみ取るお姫様を描いてヒットし、これを『アナと雪の女王』へ継承させていった。『ズートピア』では差別の克服を洗練された手法で描いた。子会社マーベルも2018年初の黒人スーパーヒーロー物『ブラックパンサー』を公開して13億4680万ドルの興行収益をあげた。
調子が狂い始めたのは2019年ごろだ。女性ヒーローが主人公の『キャプテン・マーベル』を公開したが、「度を越したPC」という指摘が出た。『ソー:ラブ&サンダー』『エターナルズ』などに登場した同性愛も俎上に載せられた。ピークは昨年5月、黒人女優のハリー・ベイリーが主人公を引き受けた実写映画『リトル・マーメイド』だ。原作を損なったという非難が殺到し、損益分岐点(5億 6000万ドル)もなんとか超えるような有り様だった。昨年公開された映画『マイ・エレメント』『アントマン&ワスプ:クアントマニア』『マーベルズ』『ウィッシュ』などの興行も期待に達することができなかった。Netflix(ネットフリックス)に対抗して2019年ローンチしたOTTプラットフォーム「Disney+(ディズニープラス)」は累積赤字が110億ドルに達する。ディズニー売上の30%程度のテーマパーク事業も危うい。コロナ禍の直撃を受けたし、価格を大幅に上げたところ訪問客が減った。2021年一時200ドルで迫った株価は96ドル前後まで落ちた。