◆韓国政治、躍動的だが不安定

韓国・日本の民主主義指数を項目別に比較すると、韓国は選挙過程と多元性（韓国９．５８、日本９．１７）、政治参加（韓国７．２２、日本６．６７）で日本を上回った。日本は政治文化（日本８．１３、韓国６．２５）で韓国を大きく上回り、市民的自由（日本９．１２、韓国８．５３）でも優位だった。政府機能は韓国・日本ともに８．５７だった。

こうした結果は日本政治はそれほど躍動的でないが安定していて、韓国政治は躍動的だが不安定と見ることができる。これは日本は権力をひとまず信じて従うのに対し、韓国は権力に不信感を抱いて抵抗するのと無関係でない。

政治文化で韓国が日本に大きく劣るという事実は真摯に受け止めるべき部分だ。日本政治のいくつかの欠点にもかかわらず、韓国に比べて分裂やポピュリズムの程度が低いのは強みだ。

エコノミストの評価は絶対的なものではないが、韓国民主主義は完全民主主義国家群の最下位にある。これは韓国の民主主義がさらに高く発展するのか、それとも欠陥民主主義国家に転落するかの岐路に立っていることを意味する。実際、韓国の政治状況を見れば納得できる。

特に台湾が過去の混乱の政治文化から抜け出し、今ではアジアで最も模範的な自由民主主義国家と評価されている現実を省察しながら、韓国の政治発展の可能性に希望を抱く必要がある。

民主主義が国民の生活と国益の増進でなく政派的利益のために乱用される場合、結局、民主主義自体も損なわれる。特に歴代政権で外交が常道から外れて政治的目的達成のための道具になった事例が少なくない。

◆自由民主主義は他よりましな制度

自由民主主義を発展させるのは議会（立法府）だけの責任でなく、行政府・司法府・経済界・メディア・学界、そして国民全体の集団的責務だ。国益と国民の生活を最高の価値と考える統合の政治が強く要求される。これは天然資源がなく安保状況が脆弱な韓国の生存に直結する問題だ。

韓国の自由民主主義は世界史的な意味を持つ。短い期間に先進経済と民主主義を達成した珍しい国として多くの国家のロールモデルになった。韓国が血と汗を流して勝ち取った自由民主主義をより一層発展させていくことこそが世界的な民主主義拡散に貢献する道だ。また韓国の民主主義の発展が韓半島（朝鮮半島）と北東アジアの平和と繁栄を担保する重要な要素というのも明白だ。

プラトンは、民主主義は衆愚政治に陥る危険性が高いため賢者が統治する哲人政治が最も理想的な形態だと主張した。しかし韓国はすでに自由民主主義以外には選択肢がない国になった。韓国は自由民主主義がチャーチルが言う最もましな政治制度ということを証明できる潜在力と使命を持つ国だ。重要なのは我々の各界各層の実践意志だ。

イ・ヒョク／元駐ベトナム韓国大使／リセットコリア諮問委員

【韓半島平和ウォッチ】韓国民主主義の危機…発展か退行かの岐路（１）