パレスチナの武装組織ハマスの奇襲とイスラエルの報復が続いて世界各地でユダヤ人やムスリムを狙ったテロが起きている。特にドイツ・フランス・英国など欧州ではユダヤ人を脅迫するフレーズや象徴を建物に落書きしたり学校・宗教施設でユダヤ人を脅かしたりするヘイトクライム（憎悪犯罪）が相次いでいる状況だ。

１５日（現地時間）、フィナンシャル・タイムズ（ＦＴ）によると先週ドイツ・ベルリンではユダヤ人の象徴である「ダビデの星」をマンションの玄関の扉にスプレーなどで落書きする事件が少なくとも３件起きた。１９３０年代ナチス突撃隊員がユダヤ人所有の商店を識別する印を残して近隣住民に不買を強要したテロが再現される様相だ。

ドイツのユダヤ人生活担当局長フェリックス・クライン氏はＦＴに「ドイツ内のユダヤ人は強硬ムスリム組織が見せた反ユダヤ主義に驚いている」と伝えた。

◇仏「憎悪申告２４４９件」…英商店には「ユダヤ人スタッフはいるか」

イスラエルと米国の次にユダヤ人コミュニティの規模が大きいフランスも緊張している。フランスは西欧国家の中で最もムスリム居住人口が多いところだ。

ジェラール・ダルマナン内務相は「ハマスの攻撃以降、フランスで反ユダヤ主義発言や行為など威嚇事件が１８９件発生し、逮捕が６５件にもなった」と伝えた。インターネット上の違法情報・違法行為に関する通報を扱う公的オンラインプラットフォーム「PHAROS」には合計２４４９件の関連届出があった。

フランスではユダヤ人を弾圧したナチスの象徴「ハーケンクロイツ（鉤十字架）」が見つかり、武器を持った者が学校・ユダヤ教のシナゴーグを行き来するユダヤ人を捕まえて脅す事件も発生した。ユダヤ人文化センターの上空にドローンを飛ばして威嚇を加える事件も起きた。

このように反ユダヤ主義の脅威が高まると大規模なユダヤ人コミュニティがあるパリ北部郊外のサルセルでは相当数のユダヤ人家庭が当面子女を学校に行かせないことにした。

英国ロンドン警察はハマスの奇襲（７日）前後の９月２９日～１０月１２日に反ユダヤ主義事件が１０５件発生して昨年同期（１４件）の７．５倍に急増したと明らかにした。

英国ガーディアンによると、１万７００人のユダヤ人が暮らすマンチェスター・ベリーでは商店などに乱入して「スタッフの中にユダヤ人はいるか」と尋ねたり、ユダヤ人律法を守るコーシェル専門の飲食店を攻撃した事例があった。ユダヤ人施設を狙うことが増え、ロンドン北部の複数のユダヤ人学校は保安上の理由で暫定的に休校した。

イタリアでも公共場所でナチスの象徴やハマスを称賛する文句を含む反ユダヤ主義の落書きが登場している。ミラノのある病院の壁には「ユダヤ人殺人者はオーブンの中に」という落書きが見つかった。ローマのユダヤ人コミュニティの元代表はＦＴに「イスラエルがハマスに軍事的対応を強化すれば状況が悪化しかねない」と懸念した。

◇米国ではムスリムの６歳の少年が刃物で襲われ死亡

ムスリムを狙ったヘイトクライム（憎悪犯罪）も増加する傾向だ。早朝の奇襲を主導したハマスがイスラム主義組織という理由だ。米連邦捜査局（ＦＢＩ）は戦争勃発後、米国内のユダヤ人とイスラム教徒に対する威嚇が同時に増加しているとして警戒を強化している。

１５日、ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）によると、１４日米国イリノイ州ウィル郡に住むジョセフ・ズバ容疑者（７１）は６歳のムスリム少年を刃物で２６回刺して死亡させた。少年の母親（３２）は重傷を負った。

警察によると、親子が賃借りして住んでいた家の大家だったズバ容疑者は中東関連のニュースを見て怒り、「ムスリムは死ぬべきだ」と大声を出して犯行に及んだ。警察関係者は「ハマスとイスラエル間の紛争が進行している中で、ズバ容疑者は２人の被害者がイスラム教徒という理由で残忍に攻撃した」と話した。

バイデン大統領は声明を通じて「その子のパレスチナのムスリム家族は私たち皆が追求する、平和に暮らし学び、そして祈る避難所を求めて米国に来た」とし、被害者がパレスチナ出身の移民者の子孫であることを紹介した。続いて「我々はイスラム教に対する憎しみやあらゆる形の偏見と憎悪を拒否しなければならない」としながら「米国で誰かに対する憎悪は許さない」と強調した。

ＦＢＩのレイ局長は会見で「今回の戦争が米国内の暴力をあおりかねない」とし「地域社会が受ける潜在的脅威に対して宗教指導者と議論し、米国内のユダヤ教およびイスラム宗教施設を保護する努力を強化している」と明らかにした。