【時視各角】韓日関係、卵で岩を叩く
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.10.10 09:52
ピーピー。東京特派員だった2019年初秋の午前6時、携帯電話の着信音が鳴った。最初はアラームかと思ったが、違った。韓国政府高官がソウルからかけてきた電話だった。「いや、これは完全に誤報ではないですか」。高尚な人柄の彼がいきなり、当日の中央日報に掲載された韓日関係単独報道に抗議してきた。記事は当時の両国の雷管だった徴用賠償問題に関連し、韓国政府が非公開で新しい解決策を提示したという内容だった。実際、この記事はソウルを3泊4日の日程で訪問して帰国した自民党の有力政治家の記者会見内容をそのまま入れたレベルのものだった。会見は、ソウルで会った韓国政府関係者との対話を紹介したもので、早朝に抗議の電話をしてきた政府高官もその政治家が接触した人物だった。韓国メディアの他の特派員は会見の存在さえも知らなかったため、自然な流れで中央日報の特ダネになった。会見をそのまま移した記事が誤報であるはずはなかった。しかしそのような記事のために激しい抗議を受けるほど当時の取材環境は殺伐としていた。韓日関係改善のために日本にアイデアを伝えることも罪悪視された。礼儀正しい人でも早朝に国際電話をかけなければいけないほどだ。
ほぼ同じ時期、さらにあきれるようなことがあった。東京渋谷付近の飲み屋で在日韓国大使館の外交官と会った時のことだ。当時、中央日報は揺らぐ韓日関係の出口を探るために結成された韓半島平和構築傘下・韓日ビジョンフォーラムの活動を集中報道していた。元現外交官と政界・財界人、韓国・日本専門家が参加したフォーラムだった。ところがこの外交官は「中央日報の底意は何か。どういうつもりで政府を揺さぶるのか。放っておかない」と脅迫した。政府の反日ドライブになぜ反旗を翻すのかという主張にあきれ、下品な言葉まで発して争ったことを思い出す。酒の席は当然、乱れた雰囲気だった。「竹槍歌」に要約される執権勢力の対日強硬コードに魂を売る官僚の素顔だった。政権が交代して対日基調も大きく変わったが、前政権をかばったその外交官は今もうまくやっているというのだから、これにもあきれてしまう。