李在鎔（イ・ジェヨン）サムスン電子会長が秋夕（チュソク、中秋）連休中にサウジアラビア・イスラエル・エジプトの「中東３カ国」を訪問した。長引くグローバル景気沈滞の中、成長性が高い中東で接点を増やしながら「新市場開拓」に動き出したという分析だ。李会長は２０１４年の旧正月連休に米国出張を始め、昨年の秋夕連休にはメキシコ・パナマ事業場を訪問するなど、今年の秋夕まで１０年連続で「連休現場経営」をしている。

◆５０００億ドル「新金脈」をつかめ

財界とサムスンによると、李在鎔会長は１日午後（現地時間）、サウジ北西部タブーク州のエコスマートシティ「ネオム（ＮＥＯＭ）」の山岳トンネル工事現場を訪問した。ネオムトンネルはサムスン物産と現代建設がギリシャの企業とコンソーシアムを構築して参加し、現在工事中だ。李会長は昨年１０月に会長に就任した直後、アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）バラカ原発建設現場を訪れたのに続き、１年ぶりに中東地域を訪問した。特にサウジはスマート・エコ未来都市を標ぼうする「ネオム」プロジェクトに着手し、サムスンをはじめ韓国企業にとって大きなビジネスチャンスになっている。ネオムはソウル市の面積の４４倍にのぼる面積に人口９０万人以上が居住する都市で、総事業費は５０００億ドル（約７５兆円）以上と推算される。サムスン物産は現在、ネオムの４つの区域の交通網やトンネルなどインフラ施設工事を担当している。

李会長は建設現場の役職員を激励すると同時に、サムスン経営陣と脱石油で大変革を進める中東地域の事業拡大案について議論した。この席で李会長は「中東は未来の事業と革新技術発揮の機会に満ちた宝庫」とし「今は他国で家族と離れて苦労しているが、『グローバルサムスン』の未来をかけた最前線にいるという気持ちで果敢に挑戦しよう」と述べた。

◆エジプトにスマートフォン工場新設

李会長はサウジ訪問に先立ち１日午前にはエジプト中部ベニスエフ州にあるサムスン電子の工場を訪れた。エジプトは中東・アフリカ市場の拠点であり、サムスン電子は２０１２年からテレビ、モニター、タブレットなどを生産している。

サムスン電子はエジプトにスマートフォン生産工場も建設する計画だ。最近頭角を現し始めた中東スマートフォン市場でシェアをさらに拡大するためだ。市場調査会社カウンターポイントリサーチによると、サムスン電子は今年４－６月期、中東・アフリカ市場で中国のテクノ（１６％）とシャオミ（９％）を抑え、シェア２４％でスマートフォン市場１位になった。

李会長は連休初日の先月２８日にはサムスン電子イスラエル研究開発（Ｒ＆Ｄ）センターで新技術投資現況について報告を受け、未来革新技術確保案を点検した。イスラエルは人工知能（ＡＩ）と半導体・バイオ・自動運転など７０００以上の革新技術スタートアップが活動する「創業大国」であり、サムスンは新技術確保のためにイスラエルＲ＆Ｄセンターやサムスンリサーチ・イスラエルなどを運営している。サムスン電子のグローバル投資子会社「サムスンネクスト」もイスラエルの革新スタートアップに投資している。

サウジ訪問のサムスン会長「中東は未来の宝庫」…すぐに欧州へ（２）