【グローバルアイ】ある在日同胞作家が語る「私が本を書いた理由」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.09.26 15:34
今月19日、東京都町田市、コーヒーショップで席を取った。冷たいジュース1杯を一気に飲み干すと早口の日本語で話し始める。在日同胞作家の朴慶南(パク・ギョンナム)さんだ。朴さんと会うことになったのは100年前に起きた関東大地震のためだった。1992年に朴さんが出した『ポッカリ月が出ましたら』には当時朝鮮人300人余りを助けた鶴見警察署長の大川常吉(1877~1940)の話が書かれている。朝鮮人が井戸に毒を入れたという怪談に6000人を越える朝鮮人が無惨に殺害された悲劇。そのような中に存在した大川署長の話を朴さんはどのような理由で本に書いたのだろうか。
「私は鳥取県で生まれました。学生時代、祖父が大震災当時に東京に行って殺されかけたという話を聞いた後には胸中に恐怖が芽生えました。『もしこのような大災難がまた起きたら、私の友人、隣人は私を助けてくれるかしら』、そんな考えです。日本の中の在日のこと、朝鮮半島についてのことを書きたかったのですが、40代になってようやく文章を書くことを始めました。偶然大川署長のことを耳にして希望を抱くようになりました」。ようやく会えた大川署長の息子は当時の資料を朴さんに見せ、署長の話はそのようにして本の中で生き返った。ところがここで終わりではなかった。本を見た韓国のある大学病院から大川署長の話を聞かせてほしいという連絡をしてきた。署長の息子は高齢なので同行できず、代わりにその孫のユタカさんが朴さんと1995年の某日に韓国を訪れた。