◇「お前、俺の仲間になれ！」

悪魔の実を食べて特別な能力を持つことになった少年ルフィが「ひとつなぎの大秘宝（ワンピース）」を見つけるために海賊王になるという夢を抱き、仲間を増やしながら大航海に向かう海洋冒険ロマン『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』。

先月３１日に公開された実写版『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』がＮｅｔｆｌｉｘ（ネットフリックス）内の週間視聴時間１位を占めた。先月２８日から３日までの週間視聴時間を集計して発表している「グローバルトップ１０」で、公開から４日で１億４０１０時間の視聴を記録してテレビ部門（英語）１位にランクインした。再生回数は１８５０万回を記録した。Ｎｅｔｆｌｉｘによると『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』シリーズは９３カ国で１０位圏に入り、原作を産んだ日本をはじめとする４６カ国では１位だ。韓国では『マスクガール』『悪霊狩猟団：カウンターズ２』など国内制作ドラマと競り合い、５位にとどまっていた。

◇「失敗の歴史に挑戦」

日本漫画の実写化コンテンツとしては異例の成果だ。映画『ＧＨＯＳＴ　ＩＮ　ＴＨＥ　ＳＨＥＬＬ　攻殻機動隊』（２０１７）、ドラマ『カウボーイビバップ』（２０２１）、映画『ドラゴンボール　Ｅｖｏｌｕｔｉｏｎ』（２００９）、映画『デスノート　Ｌｉｇｈｔ　ｕｐ　ｔｈｅ　ＮＥＷ　ｗｏｒｌｄ』（２０１７）など日本漫画の実写化の試みはいつも失敗していたためだ。映画『鋼の錬金術師』（２０２２）は原作と違って主要な登場人物をすべて日本人でキャスティングして安っぽい扮装で「コスプレ」という酷評まで受けた。原作ファンと新しい観客のどちらとも満足させることは容易ではない課題だった。実写版のクォリティーが及ばない場合、原作のファンが多いことは薬よりもむしろ毒になる場合のほうが多かった。期待に及ばなければ一般の人よりも厳しい評価と評点をつけるためだ。

『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』の原作漫画は１９９７年から２６年間、漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載中だ。世界累積販売量５億２０００万部を突破して日本漫画歴史上世界で最も成功した作品になった。ＴＶアニメは２０２１年で１０００話を達成した。劇場版として何度も製作されたが、１５作目の劇場版『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ　ＦＩＬＭ　ＲＥＤ』は『トップガン　マーヴェリック』を抜いて昨年日本ボックスオフィス１位にランクインした。個性ある主人公５人がそれぞれ不可能にも思われる夢を抱き、友情と義理で強く固く団結して大海原に漕ぎ出す海賊冒険ロマンが漫画強国の日本国内だけでなくフロンティア精神とスタートアップを重視する米国など他の国でも共感を呼び、根強いファンダムを形成した結果だ。このような『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』をハリウッドで実写化するというアナウンスがあった時は期待よりも懸念の声のほうが大きかった。

原作漫画家の尾田栄一郎氏が総括プロデューサーとして参加してファンの懸念を払拭した。尾田氏は『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』実写版公開前の先月２９日、ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）とのインタビューで「さまざまな漫画が実写化されたが歴史があった。日本のどこの誰も成功させることができなかった。私は台本を読んで、ちゃんと脚色されているか確認する監視犬の役割をした」と語った。「実写で再現できるような漫画は描く意味がない」と考えていた尾田氏だったが、香港映画『少林サッカー』を見て「漫画的な世界が現実になったような気がして、時代が変わったと気づいた」と話した。「実写化で一番心配だったのは、ルフィのような人間が見つかるのかということだった」とし「だからオーディションの動画をたくさん見ていて、イニャキ君を見た時に笑ってしまった。僕の描く漫画みたいな人だったから」と振り返った。

「ルフィみたいな人間がいた！！」　不可能に思われた実写版『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』がグローバル１位に（２）