【中央時評】金正恩の行き詰まり
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.06.21 16:02
いま北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は核開発を後悔しているようだ。核国家は金日成(キム・イルソン)主席当時からの遺業だが、これほど苦労するとは思っていなかったようだ。韓国戦争(朝鮮戦争)で米国にやられたトラウマが北朝鮮の核開発の動機だと主張する専門家もいる。しかし韓国戦争は北朝鮮が起こした悲劇だ。何もしない北朝鮮に米国が侵攻するという仮定自体が奇抜な想像力の産物だ。1950年代もそうであり、今はなおさらだ。それなら北朝鮮は実存しない仮想の幽霊と戦うために莫大な費用を投入しながら核を開発したということだ。北朝鮮内での騒乱の発生に備えて核を開発したという主張もある。これを口実に外国軍が介入できないように防ぐということだ。なら経済を発展させて住民の支持を得ることが核開発よりも優先されるべきだが、今はその反対ではないだろうか。
2016年初めに戻るとすれば、金正恩は別の選択をしたかもしれない。当時、金正恩は3つの致命的な誤った判断をした。1つ目、数回の核実験にもかかわらず、米国は実効性のある制裁を加えることができなかったため、今後もそうだろう。2つ目、米国が制裁案を出しても中国が同意しないだろう。3つ目、中国が制裁に参加しても北朝鮮は社会主義経済であるため大きな影響を受けないだろう。この判断が一つずつ崩れると、2017年下半期に金正恩はパニックに陥った。2018年の平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)を名分に慌てて交渉に出てきたのはそのためだった。ところが同年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とトランプ大統領の両首脳に会うと自信が生じた。韓国大統領は柔和で、米国大統領はいい加減な人物だったからだ。しかしハノイ会談の失敗で自信は揺らぎ、今は経済危機で権力の維持までも心配する状況に追い込まれた。