イタリアのメディア財閥で戦後最長（９年２カ月）で首相職を務めたシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相が１２日（現地時間）死去した。享年８６歳。

イタリアのＡＮＳＡ通信は、ベルルスコーニ元首相が同日午前、ミラノのサンラファエル病院で亡くなったと報じた。これに先立って、４月初め、ベルルスコーニ元首相は呼吸困難で病院に入院した後、白血病による肺感染の診断を受け、５月中旬までの４５日間入院治療を受けた。９日に検査を受けるために再び入院したベルルスコーニ元首相は、この日まで４日間入院治療中に山を越えることができなかった。医療スタッフは急いで子供たちを呼び、ベルルスコーニ元首相は目を閉じた。

１９９７年に前立腺がんを克服したベルルスコーニ元首相は、ここ数年間、体調が特に良くなかった。２０１６年には心臓疾患で心臓の弁置換術を受け、２０２０年には肺炎と新型コロナの感染で頻繁に病院に入院した。

ベルルスコーニ元首相の葬儀は１４日、ミラノ大聖堂で国家葬として行われる。ベルルスコーニ元首相の遺体は１２日午後、ミラノ近くのアルコレにある彼の別荘に運ばれた。１３日には彼が所有するテレビ局「メディアセット」制作センターに安置され弔問を受ける予定だ。

１９３６年ミラノの銀行員一家に生まれたベルルスコーニ元首相は建設業に飛び込んで成功した後、１９７０～８０年代にイタリア最大の商業放送であるメディアセットを設立し、「メディア帝国」を築いた。プロサッカーチームＡＣミランを所有するほど強大な財力家だった。政界でもうなぎのぼりだった。１９９４年中道右派のフォルツァ・イタリア（ＦＩ）を結成した後、２０１１年まで３回も首相を務めた。ベルルスコーニ氏は９年２カ月間首相を務め、第２次世界大戦後、イタリア最長の首相となった。

イタリア国民はベルルスコーニ元首相が成功した企業家出身でイタリア経済の救世主になると期待したが、彼はメディア掌握だけに力を入れ、労働改革には失敗するなど凄惨な指導力で２０１１年国家を不渡り危機の直前まで追い込んだ。

また、賄賂・横領・セクハラなどのスキャンダルが絶えなかった。２０１０年、自分の豪華別荘に未成年女性たちを呼び込んで乱雑な「セックスパーティー」を行った疑いで起訴され裁判を受け、２０１３年には脱税容疑で有罪を言い渡されて上院議員職を剥奪された。それでも２０１９年公職進出禁止の足かせが解除されるやいなや欧州議会選挙に出馬して当選し、昨年９月の早期総選挙で１０年ぶりに上院議員になった。ただ、各種腐敗の履歴とウクライナ侵攻を起こしたロシアのプーチン大統領を擁護し、内閣に参加することはできなかった。

ベルルスコーニ元首相はプーチン大統領とお互いに誕生日プレゼントを贈るほど親しい間柄だった。プーチン大統領はこの日、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領に送った電報で「私にとってシルヴィオは大切な人であり真の友人だった」とし「彼の死は取り返しのつかない損失であり大きな悲しみ」と明らかにした。

ベルルスコーニ元首相は１９６５年と２００９年に結婚し、５人の子供を産んだ。２０１９年に離婚した２人目の妻はベルルスコーニ元首相が絶えず若い女性に惹かれて離婚を決心したと知られた。最近は１９９０年生まれで５４歳年下のマルタ・ファシーナ下院議員と恋人関係を維持した。