プーチン露大統領の側近の政治家の息子が米国の軍事技術をロシアに売り渡した容疑でイタリアで逮捕されたが、逃走したことが分かった。

３１日（現地時間）のウォールストリートジャーナル（ＷＳＪ）などによると、ロシア事業家のアルテム・ウス氏（４１）は３月２２日、逮捕されたイタリアで自宅軟禁状態だったが、セルビアのギャングの助けを受けてイタリアから脱出した。

ウス氏はプーチン大統領の側近の政治家アレクサンドル・ウス氏の息子で、石油・半導体などを扱う輸出入会社を経営している。ウス氏の父はロンドンの不動産やマレーシア宇宙産業会社など世界各地で事業を展開している。

米捜査当局は昨年、ウス氏がベネズエラ産石油を密輸し、米軍の技術をロシアに売り渡した状況を把握し、捜査に入った。ウス氏によってロシアに渡った米国の技術の中には弾道ミサイル、戦闘機、スマート弾薬などに使用される半導体が含まれていた。特にこうした半導体の一部はウクライナの戦場でも発見された。

ウス氏は昨年１０月、イタリア警察にミラノの空港で逮捕され、ミラノ郊外の刑務所に収監された。米司法省は「逃走が懸念される」としてイタリア司法当局に収監を要請した。しかしイタリアの裁判所は昨年１１月にウス氏が請求した自宅軟禁を受け入れ、検察も控訴しなかった。

さらにイタリア情報当局はウス氏を監視せず、携帯電話とインターネットの使用、面会も認めた。結局、ウス氏は米国送還が決定した当日、電子足輪を切り、セルビアのギャングの助けを受けて逃走した。

批判が強まると、イタリア政府はウス氏の国内資産を凍結するなど後続措置を取った。メローニ伊首相も「追放決定が下されたウス氏を自宅軟禁させた疑わしい決定は完全に間違っている」と述べた。