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【時視各角】韓国の中産層、お元気ですか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.18 11:26
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統計によると韓国の中産層の割合は約60%だ。国民の10人中6人だ。韓国統計庁で「中位所得(国民の所得を1列に並べた時に中間となる値)の50~150%」を中産層と見なすのに従ったものだ。韓国開発研究院(KDI)によると2021年の可処分所得基準でこの区間に該当する中産層は61.1%だ。国際比較でも遜色のない数値だ。同年の4人家族の世帯の中位所得が月529万ウォン(約54万円)なので概ね月収265万~794万ウォンが中産層になる格好だ。

しかし首をかしげる人も少なくない。世帯総所得が最低賃金(2021年月182万ウォン)より少し多いだけなのに中産層ととらえるのは無理ということだ。通常は経済的に余裕があり安定した状態になってこそ中産層と感じる。「60%が中産層」という統計はこうした大衆心理と相当な開きがある。昨年9月のNH投資証券の中産層報告書によると、中産層の回答者の45.6%が自身は下位層だと答え、2020年の40.5%より高まった(調査では経済協力開発機構(OECD)の中産層基準である中位所得の75~200%を適用した)。

 
マクロ指標が通貨危機以降最悪となる中で韓国の中産層も厳しい時代を過ごしている。何より韓国経済が負債に押さえつけられている。韓国国民の家計負債は昨年末現在1867兆ウォン。2017年末の1451兆ウォンより400兆ウォン増えた。国際通貨基金(IMF)によると韓国の家計は昨年4-6月期基準で元利金償還に所得の13.4%を使った。中産層も例外でない。2022年の所得4分位(上位20~40%)世帯の平均負債は1億1320万ウォン、所得3分位(上位40~60%)の平均負債が7657万ウォンだ(統計庁家計金融福祉調査)。不動産価格急騰と証券市場・暗号資産ブームで無理に借り入れた資金がそのまま負債として残った。その後急激な金利引き上げで利子まで増えた。

中産層のひとつの軸である自営業者も負債のため崩壊している。自営業者向け貸付は昨年末1020兆ウォンに迫った。多重債務者173万人は1人平均4億ウォン以上の借金をしていると推定される。コロナ禍での社会的距離確保が自営業者の息の根を締め上げた。金融圏の償還猶予も9月には終わる。自営業者の相当数は負債の時限爆弾の上に座っている。

過度な借金は経済成長と相克だ。元利金償還にともなう支出余力が減り内需が振るわなくなり景気悪化から所得萎縮の悪循環を呼ぶ。負債を返そうとするなら経済が成長して所得が増えなくてはならないが、借金が成長を妨げるのだ。また別の成長エンジンである輸出も7カ月連続で減った。

韓国経済は「低成長の罠」から抜け出せずにいる。今年IMFの韓国成長見通しは1.5%で世界経済見通しの2.8%と1ポイント以上広がった。2011年以来韓国の成長成績が世界経済を下回る流れが固定化している。韓国が世界的経済成長の果実を享受できないガラパゴス経済になるのではないかとの懸念が拡大している。

事実1%台の成長では危機の中産層を救い難い。低成長脱出が中産層強化の一次解決策だ。しかし尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権ではこれという成長戦略が作動していない。伝統的景気振興策である財政と通貨拡大は手足が縛られている。国の債務が400兆ウォンも増えたために財政を使うことも難しく、物価のため金利引き下げも不如意だ。それなら構造改革で経済に躍動感を吹き込まなくてはならないが、これすらも遅々として進まない。

歴代政権は成長ではなくても中産層を厚くする方案を探すことに心血を注いだ。中産層こそ社会を元気に支える中枢勢力であるためだ。国民年金、自社株制度、財形貯蓄、新都市建設、定年延長などがそのような結果だった。尹大統領の支持率が30%台から抜け出せないのは疲弊する中産層の失望感と無関係ではないだろう。政府が答を出す番だ。

イ・サンリョル/論説委員

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