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年間2万人が国籍を放棄…「韓国社会はこれ以上希望ない」(1)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2023.03.20 15:35
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「欧州旅行中に外国人の友人に会った時、ショックを受けた。勉強の量も教育費も自分が最も多かったが、年俸や社会的な職位はその友人が高かった。多様な学習の機会、幅広い職業選択、円満な老後福祉。比較にもならなかった。投資に対するアウトプットも出ない韓国では未来がないと考えて挑戦を決心した」(カナダ移民を準備中の28歳のパクさん、ソウル)

韓国を離れる。体だけが離れるのではない。自ら「韓国人」であることを放棄して第2の「自国」で暮らす。韓国法務部によると、最近11年間(2012年-2022年)に26万2305人の韓国人が国籍を喪失または離脱した。国籍放棄者は、移民などで外国国籍を取得して後天的に国籍を喪失する「国籍喪失者」と、先天的に多重国籍を取得した後、兵役などの理由で外国国籍を選択する「国籍離脱者」に分けられる。法務部の統計によると、年平均およそ2万人の先・後天的多重国籍者が韓国国籍を放棄しているということだ。同じ期間、韓国国籍を取得した人(14万8528人)より1.7倍も多い。国籍放棄者はほとんどが先進国に向かった。この5年間(2018年-22年)の韓国国籍喪失・離脱者の新たな国籍は米国(56.2%)、日本(14.8%)、カナダ(13.6%)の順に多かった。

 
米ボストンで居住するソン・ミンギさん(30)は「過去には永住権だけで十分に米国生活が可能だったが、最近は子どもの就職などを理由に市民権がなければ不利益にあう事例が増え、国籍を放棄する移民者が増えた」とし「米国永住権者のうち約80%は韓国国籍を放棄してでも米国市民権の取得を望むはず」と現地の状況を説明した。ソンさんは「現在、国内法上、満65歳以上である場合、条件付き二重国籍や国籍回復が可能であり、多くの移民者はそれほど悩まず国籍を放棄している」と伝えた。

国籍は依然として韓国だが、生活の拠点を海外に移す人も多い。結婚、養子縁組、就職、事業などで長期滞在ビザを取得し、心身を外国に置く人(海外移住者)も毎年増加傾向にある。1980年代、海外移住申告者数は年間3万人を上回った。米国に行けば成功するという「アメリカンドリーム」が注目された時期だった。しかし韓国が先進国に近づくにつれ、移住申告者数は2000年に1万5000人台に減少し、2014年には249人にまで減った。

しかしセウォル号惨事、景気沈滞などが続き、地獄のような韓国社会を表す「ヘル朝鮮」という言葉が登場した。この時から第2の「アメリカンドリーム」を夢見ながら韓国社会を離れる人たちが増え始めた。2017年に海外移住法が改正された後、2019年の海外移住者数は4000人台となった。2020-21年には新型コロナ拡大で停滞したが、昨年から海外移住がまた増えている。

なぜ「脱朝鮮(韓国を離れて他国へ移住)」を夢見るようになったのか。移民を準備中または実行した人たちは「韓国ほど暮らしやすい国はない」と言いながらも「韓国社会はもう希望がない」と口をそろえる。こうした発言は韓国社会の矛盾から派生したものと考えられる。この数十年間、韓国社会は量的には成長したが、成長の過程で依然として改善しない弊害があるということだ。ソン・ミンギさんは「親の世代までは『今は厳しくても、より良い明日がある』という希望があったが、今は自分の能力、努力に適切な見返りを受けるのが難しい時代」とし「それで『ヘル朝鮮』という言葉が誕生し、言語と能力を備えている人たちを中心に努力が認められる海外に出かけようという雰囲気が広まったようだ」と話した。

韓国が「ヘル朝鮮」という認識は統計でも確認できる。統計庁によると、過去3年間の韓国の主観的生活満足度は10点満点で5.9点であり、OECD加盟国のうち最下位圏だった。韓国人が感じる生活満足度は過去10年間高まったが、他国と比較して生活の質が低いという認識が広まった。韓国ギャラップのアンケート調査によると、回答者3人のうち1人(34%)、中でも社会生活が最も活発な30代の回答者は半分近い人(46%)が「要件が満たされれば他国で暮らしたい」と答えた。

韓国社会が妊娠・出産、養育するのに適していないという認識は、さらに海外への移住を増やした。少子化問題が移民の主な理由だと話したヘンリさん(32)は韓国の未来の世代に確信がなく、子どもに米国の市民権を準備したいと話した。ヘンリさんは「競争をしながら激しく生きてきたが、今のMZ世代は生涯働いても家も買えない生活を送っている」とし「20年後に自分の子どもが高齢人口を扶養するための税金などを負担することを考えると、後退する韓国ではなく成長する米国を選択するのがよいと考える」と不満を吐露した。

カナダ永住権者として居住し、2年前に逆移民した30代のパクさんは「家族がいる韓国で生活したいと思って帰ってきたが、子どもの教育のためにまた海外に移民することを考えている」とし「韓国では数百万ウォンの費用がかかる英語の幼稚園に通わせなければ子どもが後れを取りそうで、周囲を気にせず自由な環境で教育できる海外がよいという気がした」と話した。

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