【コラム】製造業大国だけでは未来を準備できない=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.03.28 12:02
2011年2月、米カリフォルニア州シリコンバレー。米大統領オバマとシリコンバレーの企業家との夕食会で歓談が行き来した。オバマがスティーブ・ジョブズに尋ねた。「iPhoneをなぜ米国で作ることができないのか」。ジョブズ特有の冷笑的な答が返ってきた。「そんなことは起きない!」
米国政治のガラスの天井を破ったオバマは再選を念頭に置いていた。その時もいまも米国大統領選挙の構図を決めるのは米国中西部、いわゆる「ラストベルト」の有権者だ。2008年に米国発の世界的金融危機が始まった時にホワイトハウスの主人に選出されたオバマは米国製造業の雇用拡大に力を注いだ。「ビジネスUターン」、すなわち米国を離れた製造業を再び米国に誘致することはオバマ政権の米製造業復興戦略であると同時に選挙戦略だった。そんなオバマの計算を知らないはずがないジョブズが「目を覚ませ」と冷や水を浴びせたのだ。
「Designed by Apple in California,assembled in China(カリフォルニアのアップルがデザインし中国で組み立てる)」。iPhone裏面カバーにくっきりと刻まれた文字は技術を頂点に掲げるiPhoneの世界的供給網宣言だ。技術だけ米国が持ち組み立てを外国に任せるのは世界化時代を支配した利潤創出の公式だった。だれもがその公式をまねようとする熱気の中で製造能力は米国を離れ外国に出て行った。途轍もない速度とそれに匹敵する数字で。