日米両政府が来年５月に広島で開かれる主要７カ国（Ｇ７）首脳会議（サミット）を契機に両国首脳がもう１つの被爆地である長崎も訪れる方向で検討していると２０日、読売新聞などが報じた。訪問が実現する場合、バイデン大統領は日本の被爆地２カ所をすべて訪問する米国初の現職大統領になる。

読売新聞はこの日、複数の消息筋を引用して「長崎訪問案は米側から水面下で打診があり、日米両政府が実現に向けた協議に入っている」としながら「岸田首相が同行し、日米両首脳がそろって二つの被爆地から、『核兵器のない世界』に向けた取り組みの重要性を世界に発信したい考え」と伝えた。

また、今回の訪問がウクライナを侵攻した後、核危機に何度も言及しているロシアのプーチン大統領を牽制（けんせい）する意味を込めることができると同紙はみている。

両国政府は訪問日程を調整して日米両側の世論を慎重に見極めて最終判断する予定だ。

松野博一官房長官は２０日、記者団と会って「何ら具体的な検討は始まっていない」としつつも「核軍縮に向けたあらゆる取り組みの原点として重要」と述べた。広島が地方区の岸田首相もバイデン大統領の長崎訪問を肯定的に受け止めていると伝えられた。

これに先立ち、２０１６年５月２７日にオバマ大統領が米国の現職大統領として初めて広島を訪れた。第２次世界大戦末期である１９４５年８月６日に米国が広島にウラン原子爆弾「リトルボーイ（Ｌｉｔｔｌｅ　Ｂｏｙ）」を投下してから７１年ぶりのことだった。

しかし当時オバマ大統領は長崎は訪れなかった。米国は広島に原爆を投下した３日後の１９４５年８月９日、長崎にプルトニウム原子爆弾「ファットマン（Ｆａｔ　Ｍａｎ）」を投下し、日本の無条件降伏を引き出した。

日本共同通信は今回の訪問が実現する場合、敬虔（けいけん）なカトリック信者であるバイデン大統領が原爆で倒壊した後で再建された浦上教会を訪れる可能性があると伝えた。オバマ大統領は２０１６年の広島訪問当時、原爆犠牲者慰霊碑を訪れて、原爆生存者と会った。