【コラム】「金正日の遺書」入手した脱北博士…なぜ文政権でスパイ扱いされたのか(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.04 14:01
南北が激しく対立して「南南葛藤」も深刻な韓半島(朝鮮半島)で、北朝鮮関連情報を暴いたり対北朝鮮工作の一線に投入されることは命にかかわるほど危険だ。北朝鮮のあらゆる脅迫にも屈することなく持ちこたえたが、文在寅(ムン・ジェイン)政権でスパイ扱いされて苦しんだ2人がいる。脱北知識人イ・ユンゴル北朝鮮戦略情報サービスセンター代表(54)とベテラン対北朝鮮工作官出身のチョン・ギュピル予備役陸軍大佐(ホリム安保協議会会長、58)だ。2人は共に「文政権時代の国家情報院と検察のあきれる『スパイ扱い』の真相を究明すべきだ」と訴えた。最近2人に会ってこれまでの事情を聞いた。
イ・ユンゴル代表はキリスト教の家庭で生まれたうえ、祖父母の兄弟が38度線を越えたため北朝鮮に残った家族は最下層民として暮らした。奇跡的に北朝鮮の3大名門の一つ、平壌(ピョンヤン)理科大学を卒業し、金日成(キム・イルソン)主席のための「万寿無疆研究所」所属の青岩山(チョンアムサン)研究所(護衛司令部管轄)で研究員として勤務していたが、2005年に「間違った北朝鮮体制を変える」と決心して脱北した。
忠南大で生命工学博士学位を取得したイ氏は統一部・国家情報院・国軍情報司令部など主要対北朝鮮機関と協力し、北朝鮮の内部情報を収集して分析報告書を提供してきた。イ氏がメディアの注目を受けたきっかけは金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去(2011年12月)からわずか4カ月後の2012年4月に「金正日の遺書」を入手して公開した時だった。同年11月に『金正日の遺書と金正恩の未来』を出版し、2013年12月の張成沢(チャン・ソンテク、金正恩の叔母の夫)失脚を予想して対北朝鮮情報入手能力を立証した。特にイ氏が北朝鮮内部情報を根拠に「核・ミサイル・生物化学武器は『金氏一族の宝物』であるため、政権が滅びる前には決して手放さない」と力説すると右派は歓呼したが、左派は「脱北者=背信者」フレームをかぶせて攻撃した。