米国のインフレ抑制法施行によりヒョンデ（現代自動車）と起亜が直撃弾を受ける中で、現地高官が韓国を直接訪れ現代自動車グループと電気自動車生産工場の早期着工に対する意見を交換した。工場が早期に稼動すれば米国政府から税制優遇を受けられる時期が前倒しされる見通しだ。

２２日の業界によると、米ジョージア州のパット・ウィルソン経済開発長官がこのほど訪韓し、鄭義宣（チョン・ウィソン）会長を含む現代自動車グループの主要役員らと会った。ウィルソン長官らジョージア州経済開発部所属官僚らがソウルのヒョンデ本社を訪問してオフィスを視察した。

◇本社訪れ起亜「ＥＶ６」の製造過程聞く

彼らは起亜の電気自動車「ＥＶ６」の製造施設に対する説明を聞き、「アイオニック５」とＥＶ６の実物を直接比較した。ジョージア州側は「未来の雇用創出に向け長期にわたり関係を続けてきた現代自動車グループ関係者と会った」と明らかにした。ジョージア州はヒョンデだけでなくＳＫ、ハンファ、錦湖（クムホ）など他の韓国企業とも工場誘致と運営に向け協議している。ＳＫＣは来年に半導体パッケージング用ガラス基板工場を作ることにしており、錦湖タイヤは２０１６年に現地工場を完工して運営している。

米国官僚と会った席でヒョンデはこれまで２０２５年の完工を目標にしていたジョージア州の電気自動車専用工場着工時期を年内に繰り上げることを提案したという。今年着工されれば早ければ２０２４年下半期から工場が稼動できる。

アイオニック５やＥＶ６など現代自動車グループが現在販売している電気自動車はすべて韓国で生産した後に輸出しており、インフレ抑制法にともなう７５００ドルの税制優遇を受けることはできない。米国消費者が今月末に契約した電気自動車から適用される。上半期に米国で週平均１３００台を販売した実績がほとんどなくなるという観測も出ている。アイオニック５は最近米国自動車専門誌から欧米車を抜いて「今年の電気自動車」に挙げられるなど上昇に乗っていた。韓国自動車研究院のイ・ハング研究委員は「輸出額減少は今年より来年がもっと心配」と話す。

◇インフラ抑制法、８月末に米国で契約した電気自動車から適用

ただ業界では現代自動車グループが米国の消費者を対象に分割払い制を柔軟に導入し、充電カードのような別の割引制度を適用すれば売り上げ急減に備えられるこという分析も出ている。欧州に続き米国でも電気自動車市場が全般的に大きくなる状況で、長期的に有利な立場になり得る。電気自動車協会のキム・ピルス会長は、「現在米国で稼動している内燃機関の生産ラインを電気自動車に転換し、税制優遇を受けない高所得消費層を攻略する戦略を立てるべき」と助言した。