【コラム】現場を無視する政治の終末=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.15 09:06
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアのウクライナ侵攻以前には批判を受けることが多かった。コメディアン出身の彼が2019年、国民の政治改革の期待を受けて大統領に当選した。しかし側近を要職に座らせ、支持者の腐敗には目を閉じて人気が急落した。反腐敗団体の国際透明性機構(TI)によると、ウクライナはロシア・アゼルバイジャンに続いて欧州で最も腐敗している国に挙げられた。ロシアの侵攻の脅威が強まった1月、ゼレンスキー大統領は戦争の恐怖に包まれた国民を嘲弄しながらロシアの侵攻はないと述べたが、翌日、ロシアが侵攻する可能性があると言葉を変えた。このため国民の53%は、ロシアが侵攻すればゼレンスキー大統領は国を守ることができない、と考えた。
ゼレンスキー大統領は2月24日のロシア侵攻以降、変わった姿を見せた。戦争の初期、世界は圧倒的な軍事優位でロシアがウクライナを3、4日以内に占領すると予想した。米国はゼレンスキー大統領がロシアの暗殺対象だからウクライナを離れるべきだと勧めた。しかしゼレンスキー大統領は首都キーウ(キエフ)を離れなかった。ロシアのタンク・装甲車がキーウに進撃し、ミサイルが首都を爆撃する状況で、彼は執務室を移動しながらオンライン演説などで決死抗戦を促した。指導者の勇気は国民を団結させた。ウクライナ国民はロシア軍を迎え、戦力の絶対的劣勢にもかかわらずキーウなどを死守し、侵略軍を退けた。ロシアはウクライナ占領をあきらめて、南部港町マリウポリと東部ドンバス地域の占領に戦力を集中している。
ゼレンスキー大統領の勇気は世界を動かした。プーチン露大統領の独裁に対抗して民主主義・人権を代弁する象徴になった。ウクライナ国民の英雄的な抗戦を見た米国・欧州連合(EU)はロシアに経済制裁を加え、ウクライナに軍需支援を始めた。