【中央時評】文在寅の懺悔、尹錫悦の寛容
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.14 14:09
新政権発足をおよそ1カ月後に控えた時期の検察捜査権完全剥奪(検捜完剥)対立は新旧権力の正面衝突の予告編だ。民主党は陣営内部に向けて強いメッセージを発信している。「選挙に負ければ、ない罪を作って政治報復する」(李在明候補)という「予言」が近く現実として到来するかのように、恐怖のアドバルーンを揚げている。
民主党政権はわずか1年前、腐敗・経済など6大犯罪だけを検察が直接捜査し、残りは高位公職者犯罪捜査処と警察が分担するという捜査権調整案を強行処理した。しかし権力交代を控えて突然、検察が6大犯罪捜査からも完全に手を引くよう動き始めた。検察の代わりにどこが捜査するのかも準備できていない水準未達の法改正案を無理に強行している。
名分もなく純粋性も疑われる検捜完剥には政治報復という恐怖がある。事実かどうかはともかく、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を岩から飛び降りるようにした原罪が「政治検察」の強引な捜査にあるという集団的な信念が政治報復の機制を稼働させた。政治報復を防ぐには検察を改革すべきだという主張は分かる。しかし理解できないのは、あれほど検察権の乱用を憎悪しながらも、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)両元大統領を監房に入れるのに検察を大いに利用した点だ。卑劣な権力の2つの顔だ。しかし20年間執権という希望が水の泡となり5年で権力を譲ることになると、頭の中が複雑になった。蔚山(ウルサン)市長選挙介入、月城(ウォルソン)原発の経済性改ざん、大庄洞(デジャンドン)開発不正、法人カード流用疑惑など重なり積もった捜査ファイルが、検察に対する恐怖を呼んだのかもしれない。血が血を呼ぶ復讐劇が押し寄せてくるという誇張された恐怖心とコンクリート支持を送る熱烈支持層に囲まれ、最後の砦であるべき集団知性までもまひさせた形だ。