韓悳洙（ハン・ドクス）カードを切った時から事実おかしな感じはした。キャリアや経済通などいくら良い言葉を取って付けても朴洪根（パク・ホングン）民主党院内代表の話のように「湖南（ホナム）出身で盧武鉉（ノ・ムヒョン）政権で首相を歴任したため国会通過がスムーズだろうという期待値」以外に理由を見つけにくいという話だ。世間では７３歳の高齢、そして公職と大型法律事務所を行き来しながら２０１７年以降だけで２０億ウォン近く稼いだという事実を問題にするが、私は金尚祖氏がそうだったように過去５年間のクレジットカード使用額が０ウォンということが引っかかる。実際にカードを全く使わなかったか、使っても申告しなかったという話だが、どちらも正常ではない。出処が不明な別の所得源から消費する形で事実上の脱税をしたり、批判の素地がある消費スタイルを隠そうとしたとの疑いが可能なためだ。５年前でも納得しがたかったが「公正と常識の回復」を掲げた政権の最初の首相にふさわしくない。

尹次期大統領と４０年の親交があるという事実以外に公職を引き受けるほどの実力が全く検証されていない保健福祉部長官候補もやはり同様だ。あえて大統領の友人を起用するなら国民が認めないわけにはいかない実力を備えなければならない。ところが新政権への反感が大きい若い女性をこき下ろした過去のコラムや農地法違反の前歴、子女の特恵入学疑惑以外にどんな能力があるのかまったくわからない。そうかと思えば業界を管轄する主務官庁である産業通商資源部長官候補の李昌洋氏は政権引き継ぎ委員会への合流６日後にＬＧディスプレーの社外理事に再選任された。政権引き継ぎ委員会に合流すると同時に既存の社外理事職も捨てるべきだが、長官指名の時まで維持していたという事実は彼の公的マインド水準を推し量るのに余りある。

色々と失敗した大統領を見てきた金鍾仁（キム・ジョンイン）元「国民の力」非常対策委員長は『なぜ大統領は失敗するのか』で、「過ぎ去った政権を競争相手とせず未来を相手に競争せよ」と助言した。また「国民が何を要求しており時代がどのような方向に変化しているのか、これをよく理解して順応した政治は生き残り、そうでない政治は失敗した」と指摘した。生き残るのか、失敗するのか。尹次期大統領の選択にかかっている。

アン・ヘリ／論説委員

【コラム】失敗した大統領の道に進まないようにするには＝韓国（１）