レッドラインを越える金正恩委員長、バイデン大統領の妙手は見えず(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.01.24 11:30
「ポストシンガポール」の均衡が崩れ始めた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と米国のトランプ前大統領は2018年6月12日、シンガポールのセントーサ島で電撃的に▼完全な非核化▼平和体制の保障▼米朝関係正常化の推進▼韓国戦争(朝鮮戦争)戦死者の遺骨送還--の4項目に合意した。北朝鮮はこの4年間「セントーサ・モメンタム」の再現を期待していたが、もうその未練を捨てて新たな局面に向かっている。金委員長が労働党中央委員会政治局会議で、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射のモラトリアムの撤回を示唆し、主導権争いに入った。「グランドバーゲン」と「戦略的忍耐」の両極端を避けて「外交的関与」の実用路線を前に出した米国は、ひとまず「条件のない対話」が依然として有効だという従来の立場を繰り返すにとどまった。
国内外で難題に囲まれたまま就任1周年を迎えたバイデン米大統領に対し、「レッドライン」横断も辞さないという北朝鮮の安保挑戦は当惑する事態の展開だ。対話再開の努力を続けるという無味乾燥な反応は、韓国政府が直面した無力感を雄弁に語っている。