【中央時評】ウイルスの謎(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.01.03 15:17
一方、1981年からエイズによる同性愛者の死が知らされ始めたとき、何の問題もない健在な米国人男性同性愛者が自身の遺伝子検査を進んで受けた。驚くことに彼はCCR5デルタ32遺伝子を持っていた。先祖は欧州人だった。2018年中国の賀建奎研究陣がヒト免疫不全ウイルス(HIV)に先天的免疫を持った双子女の子を誕生させたと主張し、生命倫理論争が盛んに行われたが、その時に遺伝子ハサミ技術で削除した遺伝子がこのCCR5だった。
1918年インフルエンザ・パンデミックの時も病原体からして謎だった。その正体は1997年になってようやく、アラスカに凍土に埋められていた女性死体の肺組織からウィルスRNAの組織片を採取して分析した後、H1N1ウイルスと命名される。当時の謎はなぜ数週間間隔で第1・2・3波が起きたのか、なぜ第2波で深刻な重症へと悪化したのか、なぜ20代の若者の多くが犠牲になったのか等だった。後日、さまざまな種類のウイルスの融合による毒性の強い変異株の出現、第1次世界大戦の新武器だった毒ガスと塹壕戦、栄養失調と結核、サイトカインストームなどが原因ではないかと推定された。前例のない神経精神科疾患が後遺症として報告されたのも謎だった。