世界保健機関（ＷＨＯ）が新型コロナウイルスの大流行状況を考慮し人々が集まる年末のイベントを控えるよう呼び掛けた。ロイター通信などによると、ＷＨＯのテドロス事務局長は２０日の記者会見で、「われわれは新型コロナウイルスの大流行を終わらせることに集中しなければならない。イベントのキャンセルは人生をキャンセルするよりましだろう」と話した。

続けて「オミクロン株がデルタ株より早く拡散しているという一貫した証拠がある。新型コロナウイルスワクチンを接種した人がブレイクスルー感染したり、すでに感染して回復した人も再感染する可能性が高い」と警告した。ＷＨＯはこれに先立ち１７日にオミクロン株の市中感染が始まった国で感染者が１．５日から３日ごとに２倍ずつ増加していると明らかにした。

ＷＨＯの主任科学者ソミヤ・スワミナサン氏もこの日「オミクロン株の感染症状は他の変異株より軽いと判断するのは賢明でない。オミクロン株は一部免疫反応を回避しており、感染者が増加し医療体系が危機に直面しかねない状況」と説明した。

ロイターは今回のＷＨＯの記者会見に対し、「オミクロン株がデルタ株より深刻ではないという証拠を発見できなかったというインペリアル・カレッジ・ロンドン（ＩＣＬ）の研究結果を反映したもの」と伝えた。

これに先立ちＩＣＬが明らかにした調査内容によると、１万１３２９人のオミクロン株感染者と２０万人の他の変異株感染者を比較分析した結果、入院率に意味ある違いはなく、オミクロン株感染者がより軽微な症状を見せるという兆候も現れなかった。また、オミクロン株はデルタ株より再感染リスクが５倍以上高いことがわかった。

この日ＷＨＯはワクチン接種が依然としてオミクロン株を含む新型コロナウイルス変異株に対抗する有効な対応策という点を強調した。

ＷＨＯの専門家らは、新型コロナウイルスの変異株はワクチンが生成する抗体の防衛能力を弱化させるが、免疫反応の２番目の軸となるＴ細胞が深刻な症状発現を防止できると説明する。ＷＨＯ所属のアブディ・マハムッド博士は「（変異株の影響で）中和抗体が減少しているが、ほぼすべての予備分析の結果、Ｔ細胞媒介免疫が全て維持されている。これはわれわれに本当に必要なもの」と説明した。

一方、オミクロン株の感染拡大によりフランスのパリは伝統的な新年前日の花火大会を昨年に続き今年も中止した。ドイツは年末のパーティーを制限するため２８日からクラブなどを閉鎖し私的な会合も１０人以内に制限する案を推進している。英国もクリスマス以降２週間にわたり臨時封鎖措置である「サーキットブレーカー」の施行を検討している。