２８日午前、仁川延寿区のサムスンバイオロジクスで、韓国国内で生産されたモデルナ社のワクチンが初めて出荷された。　［写真　共同取材団］

韓国で生産する新型コロナワクチンが食品医薬品安全処の品目許可を受けた。サムスンバイオロジクスは１４日、「モデルナが開発し、仁川松島（インチョン・ソンド）のサムスンバイオ工場で製造した新型コロナワクチン（スパイクボックス株）が、正式に製造販売品目許可を受けた」とし「これで韓国産モデルナワクチンの国内販売と輸出が可能になった」と明らかにした。韓国医薬品製造工場で生産されたメッセンジャーリボ核酸（ｍＲＮＡ）ワクチンが品目許可を受けたのは今回が初めて。

モデルナコリアが国内で最初に新型コロナワクチン品目許可を受けた背景には、サムスンバイオの委託生産（ＣＭＯ）技術があった。モデルナとサムスンバイオは５月、新型コロナワクチン医薬品（ＤＰ＝Ｄｒｕｇ　Ｐｒｏｄｕｃｔ）ＣＭＯ契約を締結した。その後、サムスンバイオが最初の物量を生産して国内に出荷するのにかかった期間はわずか５カ月。通常１年以上かかる過程を半分以上も短縮したのだ。サムスンバイオが迅速に動いたことでモデルナコリアは１１月、食品医薬品安全処に正式品目許可を申請することができた。

サムスンバイオでは３つの組織が「一人三脚」で動いた。まずサムスンバイオはモデルナとＣＭＯ契約直後にモデルナ担当タスクフォース（ＴＦ）を構成した。原材料・副資材の確保から政府との連携、購買、通関、最終出荷まで全過程の責任を負う組織を設けた。

例えばモデルナ製ワクチンは温度に敏感で熱に破壊されやすい特性がある。したがって生産直後に特殊冷凍保管過程を通してマイナス２０度の倉庫とマイナス４０度の倉庫を行き来しながら温度を維持しなければならない。

サムスンバイオのサプライチェーン管理（ＳＣＭ）チームは「ウォールーム（ｗａｒ　ｒｏｏｍ）」を組織した。従来のたんぱく質ワクチンとは違い、モデルナ社のワクチンは洗浄液やフィルターなど原材料・部品の調達が核心だと判断したからだ。モデルナ社のワクチンの原材料はほとんどが輸入されるが、新型コロナの感染拡大で国境がふさがったため戦時レベルで海外からの調達を推進した。このためワクチンの温度・湿度など諸般条件は製造品質管理基準（ＧＭＰ）を満たすことができた。

サムスン電子も支援した。サムスン電子スマート工場チームはモデルナ社のワクチンが生産効率・収率を高めることができるよう支援した。サムスンバイオは「バイオ工場と半導体工場は技術の側面で似ているところがある」とし「半導体工場を運営する専門家らがワクチン生産効率を高めるために協力した」と説明した。

サムスンバイオの迅速な意思決定と先制的な設備投資も影響を及ぼした。ワクチンＣＭＯ工程は大きく原料医薬品（ＤＳ＝Ｄｒｕｇ　Ｓｕｂｓｔａｎｃｅ）生産工程とＤＰ生産工程に分かれるが、５月の両社の契約範囲はＤＰ工程だけだった。しかしサムスンバイオは５月、ｍＲＮＡワクチンＤＰはもちろんＤＳ生産まで事業を拡大することを決め、投資を始めた。すでに２０２２年４－６月期の生産を目標にＤＳ生産設備を建設している。

先制的な投資は事業拡大の機会を開いた。米ボストンｍＲＮＡ専門企業グリーンライト・バイオサイエンスが先月、サムスンバイオにｍＲＮＡワクチンＤＳ工程を任せたのだ。この工場の建設が終わればサムスンバイオはｍＲＮＡワクチンの生産から無菌充填、ラベリング、パッケージング、貯蔵までワンストップ生産サービスを提供できる。

李在鎔（イ・ジェヨン）サムスン電子副会長はサムスンバイオプロジェクトに力を注いだ。８月に仮釈放で出所した李副会長は「バイオ分野で第２の半導体神話を創出する」と明らかにした。

実際、８月にモデルナ最高経営陣とのテレビ会議に参加し、先月１６日（現地時間）には米マサチューセッツ州ケンブリッジに渡り、モデルナのヌーバー・アフェヤン取締役会議長に会った。新型コロナワクチンの追加協力について議論するためだ。

一方、サムスンバイオが生産したｍＲＮＡワクチンが政府の公認を受けたことで、韓国産ワクチンが世界市場に販売される可能性が高まった。サムスンバイオが国内で生産したモデルナ社のワクチンは先月２６日にフィリピン、今月２日にコロンビアで緊急使用承認を取得した。