【コラム】「ソ連軍=解放軍」用語は世界共産化を狙った宣伝扇動術(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.07.21 14:47
19世紀末から20世紀初期にかけて道徳哲学は懐疑主義に陥った。名詞中心の道徳性探求に懐疑が生じた。こうした潮流の代案的な試みとして、カナダ道徳哲学者チャールズ・テイラーは『自我の源泉(Sources of the Self)』で新しい現代道徳哲学を提示した。彼が提示した人間の正しいアイデンティティは内面性、日常生活に対する肯定、個性、自然の声、繊細な言語に要約される。これらはすべて名詞的な真理としての道徳性(=真)に限られるのではなく、善良さ(=善)と美しさ(=美)も含んでいる。このような意味でテイラーがいう「神は副詞を愛し給う」という部分は大きな意味がある。副詞は文法で付随的な品詞だ。省いても意思疎通に大きな問題はない。しかし副詞がある時に本当の意思疎通ができる。この副詞があるために、よりうれしいことにより大きく笑うことができ、より悲しいことにより多くの共感で慰め合うことができる。
ところが我々の社会には歴史をいわゆる名詞だけで理解しようとする弊害がある。こうした接近は、歴史的な問題に実体的な真実がただ一つだけ存在すると考え、他の可能性をすべて排除する。北朝鮮を根拠なく追従する者をいう「従北左派」や日本を盲目的に追う者をいう「親日派」などの用語が典型だ。このような命名法はそれぞれ北朝鮮と日本を対話の主題として考えず、頑固な名詞的地位を持つ価値として考える一種の誤謬を犯している。