北朝鮮が１日、最高人民会議常任委員会全員会議（第１４期第１５回）を開き、金属工業法など経済関連法案を修正補充し、麻薬犯罪防止法を採択したと、北朝鮮メディアが２日報じた。最高人民会議常任委は、定期国会に該当する最高人民会議の休会中、最高主権機関（北朝鮮憲法１１３条）として法案を審議・採択する機能がある。

この日の常任委は崔竜海（チェ・ヨンヘ）最高人民会議常任委員長が進行し、出席者全員がマスクを着用した。

北朝鮮では多くの国が麻薬に分類するケシを栽培したり「ビンドゥ」（ヒロポン）と呼ばれる麻薬を取引する場合がある。北朝鮮は刑法で「麻薬や毒薬、爆発物に関する保管及び供給秩序を破った者は１年以下の労働鍛練刑に処す」（１３０条）という処罰条項があるが、別に麻薬犯罪防止法を採択したのは今回が初めて。

これに関連し北朝鮮メディアは「国家社会制度の安定と人民の生命健康を害する違法行為を未然に防ぐための条項」と説明した。

また常任委は金属工業法と化学工業法、機械工業法など経済関連法案を制定した。北朝鮮は「金属工業法、化学工業法、機械工業法、麻薬犯罪防止法で、国の基幹工業部門に投資を集中し、生産の土台をより一層固く構築（することになった）」とし「（法制定の背景は）金属、化学、機械製品の生産、供給および販売、条件保障事業に関する制度と秩序を確立する」と明らかにした。また「国家の経済発展戦略、経済政策を徹底的に執行する内容を盛り込んでいる」としたが、具体的な法条項は公開しなかった。

金属、化学機械工業は工業の土台と見なし、基幹産業とする分野だ。

北朝鮮の経済３法の採択は、幹部の職務怠慢を叱責した金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の発言から２日後出てきたという点で目を引く。金委員長は先月２９日に開かれた党政治局拡大会議（第８期第２回）で「党全員会議で決定した重大課題の貫徹にブレーキをかけ、妨害をする重要因子が幹部の無能と無責任」と指摘した。そして政治局常務委員会の委員と政治局の委員一部を解任した。

金委員長は先月１５日に党全員会議（第８期第３回）を招集し、年初に決定した経済計画の遂行を中間点検し、目標の達成を強調した。したがってこの日の法案採択は、経済難の克服と経済目標の達成に向けた法的、制度的装置を用意し、幹部の勤務態度を強調するためという指摘も出ている。