「ヨンヒさん、注文津（チュムンジン）には行ったことはある？」

先日会った日本人の友達から聞かれた。「もう１０年以上も前になると思うけど」という私に、自分たちは今回の冬を目標に友達と「注文津グループ」に入ったと話した。ＢＴＳ（防弾少年団）が『春の日』のアルバム写真とミュージックビデオ（ＭＶ）の撮影をしたバス停留場が江原道江陵注文津（カンウォンド・カンヌン・チュムンジン）にあるという。ソウル景福宮（キョンボックン）や韓国家具博物館、龍山（ヨンサン）にあるＢＴＳ事務所の社屋まで…、早く新型コロナウイルス（新型肺炎）ワクチンを接種してこそ「ＢＴＳツアー」が可能だが、日本のワクチン接種ペースが遅くてもどかしいと言った。

韓国の友人の一人は数カ月前、ある航空会社が予約販売した日本行きの飛行機チケットを購入した。日本観光が可能になる時点から１年以内に限って使える航空券だ。新型コロナで両国間の移動が完全に断絶して２年目に突入した状況、連日あふれる「関係悪化」ニュースに隠れてよく見えないが、相手の国を訪問する日を夢見る人は日本にも、そして韓国にも明らかに存在する。いや考えているよりも多いだろう。

２０１８年末、強制徴用判決以降に悪化した関係と世界的感染病である新型コロナが重なったのは韓日関係にとってはまさに災難のように見える。その間は政治的に争う状況でも、一方では相変らず交流して訪問して疎通する動きがあったからだ。新型コロナで観光を含めた民間交流まで完全に断絶した今、悪化一途の関係を変化させる契機を探すことはますます難しくなっている。誤解は深くなり、敵対感だけが大きくなっていく。

政府次元の和解ムードは期待するのがますます難しくなっている。結局、先週末に英国で開かれた主要７カ国（Ｇ７）首脳会議（サミット）でも韓日首脳は会談を持たなかった。日本国内の嫌韓の雰囲気を背に「納得できるだけの解決策を持ってこなければあなたとは話はしない」と言って動かない日本政府の偏狭さが大きいように思う。このままならば東京オリンピック（五輪）を契機にした関係改善も難しいだろうという展望にある。

それでも何もせず眺めているばかりはできない。対立する事案では対立するものの、協力する事案は協力して「ウィンウィン」の道を探る「正常国家関係」回復のために努力しなければならない。現在は韓日両国ともにワクチン接種率が充分ではない状態だが、数カ月後からでも往来だけは自由にできるように早く議論を始めてほしい。目の前の選挙の足しにならないという判断が「注文津に行きたい気持ち」まで遮らないようにしてほしい。原論的な話だが、会って顔を見て話を聞かずして、互いに対する理解は深まらない。もしかしたら今、韓日両国政府が関係改善のためにできる努力はこれしかないように思えたりもする。

イ・ヨンヒ／東京特派員