韓国にヤンセン製ワクチン１００万回分を支援した米国が、結果的にはワクチン外交で「儲かる商売」をしたという評価が出ている。

韓国が１２日（現地時間）、主要７カ国（Ｇ７）首脳会議に出席し、開発途上国のワクチン支援に２億ドル相当を寄付すると発表し、米国のワクチンリーダーシップに応じたのが最初の理由だ。

また、米国のワクチン支援で韓米同盟の強化を図り、有効期間が半月しか残っていないワクチンを廃棄せず使用できるようになった点まで考慮すると、バイデン政権は「一石三鳥」ワクチン外交をしたということだ。

就任後初めて海外を訪問したバイデン米大統領が世界に「米国が帰ってきた」ことを象徴的に知らせた場面は、低開発国のために新型コロナワクチン５億回分を寄付するという１０日の発表だった。

パンデミック収束のために米国が率先垂範する姿を見せたからだ。バイデン大統領の言葉のように「単一国家では過去最大規模の新型コロナワクチン寄付」だった。

しかし米国単独では不足する。世界保健機関（ＷＨＯ）は世界人口の７０％が接種を終えるために必要なワクチンを１１０億回分と推算している。バイデン大統領がワクチン寄付発表演説で「他国の指導者もワクチン共有に参加してほしい」と呼びかけた理由だ。

Ｇ７首脳会議に特別招待された文在寅（ムン・ジェイン）大統領は１２日に開催された保健セッションでワクチン寄付を発表し、ホワイトハウスの要求に応じた。

文大統領は年内に開発途上国ワクチン支援に１億ドル（約１１００億ウォン、約１０８億円）を寄付し、来年１億ドル分の現金または現物を追加で提供する計画だと明らかにした。

寄付は国際ワクチン配分プロジェクト「ＣＯＶＡＸ　ＡＭＣ）」を通じて行われる。韓国が昨年ＣＯＶＡＸに寄付すると明らかにした金額１０００万ドルの２０倍だ。

韓国のワクチン寄付は、先月開催された韓米首脳会談を控えて米国からワクチン支援を受ける交渉をしながら議題に浮上した。当時、米国はＣＯＶＡＸに２０億ドルの支援を約束し、追加で２０億ドルを出すと明らかにしながら、他国も寄付すべきだと促していた時期だった。

ワシントン外交関係者の間では、この時期に、米国のワクチン支援を必要としていた韓国が米国のワクチン寄付リーダーシップに積極的に参加することを議論することになったと知られている。

先月２１日の韓米首脳会談後に行われた共同記者会見で、バイデン大統領は在韓米軍と密接接触する韓国軍５５万人のためにワクチンを支援すると公式確認した。

翌週、バイデン政権は韓国が期待していたｍＲＮＡ（メッセンジャーリボ核酸）方式のファイザーやモデルナのワクチンではなく、ヤンセンのワクチンを提供すると通知し、１０１万回分が軍輸送機に乗って５日に韓国に到着した。

これに先立ち２日、金富謙（キム・ブギョム）首相は画像で行われたＣＯＶＡＸ　ＡＭＣ首脳会議の演説で「韓国はＣＯＶＡＸに画期的な寄与拡大を追加で発表する」と予告した。

米国政府はヤンセンのワクチン１億回分を１０億ドルで契約した。これを基準に推算するとワクチン１回分あたりの価格は１０ドルだ。算術的に韓国が寄付を受けたヤンセンのワクチン１００万回分は約１０００万ドル分となる。韓国はその２０倍を開発途上国ワクチン寄付金として出すと発表したのだ。

大規模な寄付は韓国が世界１０位圏の経済規模に相応する責任を見せるものでもある。しかしバイデン政権の立場では、韓国を米国主導の開発途上国支援ワクチン外交現場に引き出す「儲かる商売」をしたと考えることができる。

順序をみると、韓国にヤンセン製ワクチン１００万回分を提供した後、韓国政府が大規模なワクチン寄付を決めたことになるからだ。

日本は昨年２億ドルを寄付したのに続き、今月初めには８億ドルの追加寄付を発表した。韓国が昨年ＣＯＶＡＸに寄付した金額は１０００万ドルだ。韓国のＣＯＶＡＸ寄付金額を日本と比較すると、昨年の日本の２０分の１から今年は４分の１へと大幅に増えた。

米国が世界外交舞台で失ったリーダーシップを取り戻すために必要なのはフォロワーシップだ。文大統領だけでなくＧ７首脳も首脳会議後に発表した共同声明（コミュニケ）で、開発途上国に新型コロナワクチン１０億回分を提供すると明らかにした。

ワシントンポスト（ＷＰ）は「バイデン大統領は米国が世界の新型コロナ接種を支援できるだけでなく、率先していくということを見せた」と評価した。