「飲酒の自由」か、「安全第一」か。

漢江（ハンガン）公園内の禁酒について市民の間で甲論乙駁が広がっている。最近、漢江公園内で事故が相次いだことを受けて、ソウル市が「禁酒公園」を検討しながらだ。

新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）のため、漢江公園に人々が集まる状況も禁酒議論の背景になった。新型コロナ時代に漢江は代表的な深夜飲酒空間としての位置を確立した。人々が集まって飲酒事故も増加している。１７日午後１１時２０分ごろ、蚕室（チャムシル）漢江公園で飲み過ぎた市民が漢江に落ちたところを救助された。松坡（ソンパ）警察署によると、Ａさん（２０）は友人と酒を飲んでいたところ飲み過ぎで気分が悪くなり、嘔吐をするために体を漢江に乗り出したところ誤って川の中に落ちた。川に落ちた後、水中階段の手すりを掴んでいたところ、通報を受けて駆けつけた警察官と住民の手によって救助された。

◆「関係ない市民に責任を転嫁するな」

漢江公園禁酒令に対する世論は交錯している。ソウル二村（イチョン）の漢江公園を訪れた住民ペク・ミンヒさん（３６）は「コロナで野外活動をほとんどできずにいるが、唯一訪れるのが漢江公園」としながら「事故が何回か起きたからと言って禁酒公園にするというのは処置としてやりすぎ」と話した。あわせて「飲みすぎによる事故は他の所でも何度か起きているが、今回の盤浦（パンポ）漢江公園事件で世論の関心を特に受けることになったのでこのような主張が出ているようだ」と話した。

友人と一緒に二村漢江公園を訪れた大学生のイさん（２３）は「飲みすぎによる事故に対する予防対策は必要だと考えるが、公園を訪れる多くの市民はビール１～２缶飲む水準」としながら「政府で事故が起きないように環境づくりをするのが先なのに、なぜその責任を市民に転嫁するのか分からない」と話した。続いて「漢江公園に防犯カメラを増やして漢江沿いや公園の区分を明確にしておいて事故予防をすればいい問題」と説明した。

◆他の公園飲酒制限、漢江公園は例外？

ソウル市は漢江公園を除く２２カ所の公園で飲酒行為を制限している。２０１８年１月からソウル市直営２２カ所の公園を「飲酒清浄地域」に指定しながらだ。だが、飲酒行為そのものを禁止するのではなく、騒音と悪臭が発生する場合、過怠金を課している。飲酒清浄地域公園はワールドカップ公園、ソウルの森、ボラメ公園などがある。

二村漢江公園付近に住むチャン・ギョンスクさん（５３）は「ある公園は飲酒制限地域にしておきながら、むしろ漢江に落ちる危険がある漢江公園だけを制止しなかったほうが不思議」とし「夜に散歩をすると、大声で歌を歌う人がいたり、出前の食べ残しや酒の瓶などをちゃんと片づけない場合が多く、時間帯を決めて飲酒制限をするなどの方法が必要だ」と話した。

海外では公共場所の飲酒を厳格に規制している。オーストラリアの場合、多くの公共場所を禁酒区域に指定している。米国ニューヨークは公共場所で開栓した酒の瓶を持っているだけでも罰金を課したり６カ月以下の懲役刑に処している。

◆「漢江チメク（チキン＋ビール）もできないのか」反発にソウル市一歩後退

ソウル市は漢江公園一帯を禁酒区域に指定する方案を検討中だと明らかにしたが発言水位を下げた。１４日、ソウル市災害安全対策本部のパク・ユミ防疫統制官は、市庁オンライン新型コロナ会見を通じて「国民健康増進法の改正に合わせ、漢江公園禁酒区域に関連した計画を立てている」とした。来月３０日から施行される国民健康増進法改正案により、地方自治体が公共場所を禁酒区域に指定して違反時に過怠金を課すことができるようになりながらだ。

だが、「漢江チメク」ができなくなるかもしれないという話が流れて市民の反対が激しくなると、呉世勲（オ・セフン）市長は３日後に改めて立場を出した。呉市長は１７日、ソウル市庁新庁舎大会議室で開かれた就任後初めての記者懇談会で「突然、今日明日に漢江チメクが禁止されることはない」と線を引いた。あわせて「飲酒文化はある社会に根を下ろした形だが、公共場所で一律的に禁酒を施行することは難しい」とし「６カ月～１年のキャンペーン期間を設けて討論会、公聴会など公論化作業を経て専門家の意見を聞くなとして十分な時間を設けた後に施行する」と明らかにした。