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【コラム】「21世紀の蹄鉄の釘」を握っていてこそ大韓民国が生存する

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.04.27 15:22
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米国と中国の間の貿易摩擦は、トランプ政府で米国の慢性的な貿易収支赤字と雇用問題に始まり、自由市場経済と国家資本主義間の体制競争に発展した。やがて米国がバイデン政府に入ると、国家技術主義とグローバル産業覇権競争に突き進んでいる。これに加えて欧州連合(EU)も政府主導の半導体産業育成競争に参入した。グローバル半導体覇権競争の火蓋が切って落とされた。

2月24日、バイデン大統領が署名した「米国のサプライチェーン強化に向けた大統領命令」は「確かなサプライチェーン確保のために米国製造業を再建して活性化することを最優先課題として推進する考えであり、米国は経済的繁栄と国家安全保障を確保するために強靭(きょうじん)かつ多様で、安全なサプライチェーンが必要だ」という大原則を設定した。製造業とサプライチェーンの中でも、特に100日以内に状況報告を求めた4品目の中でも核心は半導体産業だ。

 
バイデン大統領は署名文書で、半導体は「21世紀の蹄鉄の釘(A 21st century horseshoe nail)」と表現してその重要性について説明しながら「この半導体チップは切手より小さいが、人間の髪の毛1本の1万分の一という薄さの中に、80億個を超えるトランジスタを搭載している。このチップは米国に多大な力を与えてくれる驚異的なイノベーションであり設計であり、自動車だけでなくスマートフォン・テレビ・医療スタッフ診断器具に至るまで、多くシーンで現代生活の維持を可能にしてくれる」と定義した。これほどまでに重要な半導体産業だが、米国は世界半導体市場の45~50%を占めてきたにもかかわらず生産比重は1990年37%から2019年12%に低くなり、米国自ら半導体の危機に言及する状況に陥ってしまった。それはなぜか。

1990年代以降、グローバル化が進むにつれて物流費用が下がり直接投資を通じて世界に対して可能になった費用効率性の高いサプライチェーンの構成にその背景がある。この構造に基づいて、米国の多国籍企業は知識財産権を中心に据えることになり、どこで商品が最終的に製造されるかは重要ではなくなった。アップルのスマートフォンが代表的な事例だ。特に半導体の集積度が高まり、製造工程が高度化されて投資規模がぼう大になるにつれ、米国半導体産業は設計中心に再編されていった。米国では設備とソフトウェアの開発に注力して、半導体の製造は注文生産方式(ファウンドリ)に切り替えることによって米国の比重は大幅に低くなる代わりに東アジアの比重が高まった。

◆半導体サプライチェーンの確保に乗り出した米国

では、なぜ今になって世界半導体生産で東アジア比重が高いことが問題になるのか。最近、米商務長官は米国が半導体不足で経済と安保の両面で危機に立たされていることは決して誇張されたものではないことを強調したことがある。米国と中国のパートナー関係では、米国の選択によって半導体の供給を東アジアに依存していたわけだが、新冷戦の対立関係に変化したことを受け、米国の半導体サプライチェーンが内包している地政学的危険に目が向くようになった。

2018年7月、米国は中国から輸入される半導体に25%の関税を課したが、中国は半導体を主に韓国と台湾から輸入しているため、関税賦課措置は制裁の効果が薄かっただけでなく逆に中国の半導体を使っている米国企業に負担を加えるという結果をもたらした。トランプ政府は制裁の実効性を確保するためにファーウェイ(華為)に対する半導体と装備禁輸措置を断行し、半導体輸出問題は5世代(5G)移動通信関連の安保問題に飛び火した。

半導体サプライチェーンの過度な東アジア依存問題は、今年に入って米国自動車会社が半導体不足で生産縮小を余儀なくされることによって米国経済の当面の懸案に浮上した。しかし、自動車半導体不足事態を招いた一次的な原因は、自動車企業が需要予測に失敗したためだ。加えて、米政府が中国の自動車半導体生産業者であるSMICを禁輸対象として制裁することによって事態はさらに悪化した。

米国政府は自動車半導体不足事態を半導体産業に対する政府支援政策を正当化する絶好の機会として活用した。しかし半導体は生産の伸縮性が脆弱という特性を有しているため、世界的な半導体不足問題は長期間続かざるを得ない。半導体市場は需要と供給の両面が寡占構造を形成していて、長期契約を中心に生産が行われている。技術的には生産品目を変えるための生産システムの変更が難しい。しかも工場構造物の建設に12~24カ月、装備を設置して生産システムを備えるのに12~16カ月、試験生産を経て量産システムに至るまで相当な時間が必要とされるため、少なくとも4年ほどの時間を消耗してこそ製品が市場に出回る。

◆先端半導体は韓国・台湾の両強体制

半導体不足は主に技術水準が低い半導体で発生している点も注目する必要がある。7ナノ(1ナノは10億分の1メートル)以下の先端半導体は長期契約で需給が安定しているため供給不足現象がない。自動車半導体は8インチウェハーで、90ナノ工程で主に生産されるため、韓国ではほぼ生産されない。自動車半導体不足問題は深刻だが、投資誘引が低いため生産設備増大を期待することが難しい。

半導体産業覇権競争はどのような結果をもたらすだろうか。まず、中国は米国の禁輸で14ナノ未満の先端半導体生産設備を輸入できなくなったため、韓国と台湾を追撃しにくくなった。一方、インテルは200億ドル(約2兆1600億円)を投資して新工場を作り、ファウンドリ事業進出計画を発表したが、半導体生産ではすでにサムスン電子と台湾TSMCに追いつくことができない。少なくとも今後4年間はサムスン電子とTSMCの両強構造が維持されるという展望が支配的だ。7ナノ以下の先端半導体を生産する企業はサムスン電子とTSMCの2社しかない。2メーカーは3ナノ以下で激しい技術競争を行っている。

米中間の葛藤で台湾は韓国に示唆するところが大きい。台湾の米国に対する安保依存は中国にとっては耐えがたいことだ。それでも台湾に対する中国の制裁はせいぜいパイナップルと肉類の輸入禁止にとどまっている。なぜなら中国は台湾から半導体輸入が切実に必要なためだ。米中両国のサプライチェーンで韓国の半導体供給はなくてはならない構成要素だ。このような構造に基づき、韓国は経済的にはもちろん、安保でも独自の声を出す空間を確保することができる。したがってグローバル産業覇権競争と新冷戦の葛藤が深化するほど、半導体産業のグローバル競争力の確保は大韓民国の支えとして一層重要になるものとみられる。

キム・ドンウォン/元高麗(コリョ)大学経済学科招へい教授

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