電気自動車バッテリー営業秘密侵害をめぐり紛争を繰り広げていた韓国バッテリー大手のＬＧエナジーソリューションとＳＫイノベーションが７１３日目にしてようやく合意に至った。ＳＫがＬＧに２兆ウォン（約１９５３億円、現金１兆ウォン＋ロイヤルティ１兆ウォン）の合意金を支給し、国内外のすべての訴訟取り下げることと１０年間争訟をしないことが条件だ。特に今回の合意はジョー・バイデン米国大統領の米国際貿易委員会（ＩＴＣ）の決定に対する拒否権行使期限（１１日・現地時間）を翌日に控えて電撃的に行われた。

◆太平洋に渡って「Ｚｏｏｍ」によって半日で終止符

７００日を越えて争われていた訴訟戦の終止符を打つのに半日もかからなかった。ＬＧエナジーソリューションの金鍾現（キム・ジョンヒョン）代表と米国にいるＳＫイノベーションの金俊（キム・ジュン）総括社長は１０日午後、太平洋を間に挟んだテレビ会議を通じて訴訟終了に合意した。両社は１１日、「韓米両国の電気自動車バッテリー産業の発展のために健全な競争と友好的な協力を行うことにした」とし「特に米国バイデン政府が推進しているバッテリーサプライチェーンの強化および親環境政策に共同で努力することにした」と明らかにした。

◆バイデン氏「米国労働者と自動車産業の勝利」

両社の合意文からも分かるように、今回の合意はバイデン大統領が決定的な役割を果たしたことが明らかになった。特に気候変動への対応に向けた電気自動車の普及拡大政策を強力に推進し、半導体と同じくバッテリーでも頭角を現わしている中国をけん制しなければならないというバイデン大統領の強力な意志が働いた。バイデン大統領の意志は米国の通商政策を総括する通商代表部（ＵＳＴＲ）を通じて二社に伝えられたと分かった。

ＵＳＴＲが今年２月にＩＴＣから最終決定が下された直後から、ＬＧとＳＫが米現地で選任したローファームを通じて合意の動きを探っていたという。米国内でもＬＧとＳＫのうち一つを選択しなければならない岐路に立ったバイデン大統領の合意戦略が通じたという評価もある。バイデン大統領も１１日（現地時間）、ＬＧとＳＫが２兆ウォンの賠償金に合意したと発表すると、「今回の合意は米国労働者と米国自動車産業の勝利」と明らかにした。バイデン大統領はホワイトハウスの声明を通じて「米国の未来と雇用創出に向けた肯定的な合意のために尽力してくれたキャサリン・タイＵＳＴＲ代表に感謝する」とし「米国自動車産業の強化および未来電気自動車市場での勝利を支援するだろう」と付け加えた。

◆米国の中国けん制戦略も作動

バイデン大統領は就任直後から１７４０億ドル（約１９兆円）を電気自動車産業に投資して雇用創出政策を推進した。電気自動車原材料と部品、完成車まで米国で生産するというもので、この過程における核心が電気自動車バッテリーだ。大林（テリム）大学自動車学科のキム・ピルス教授は「電気自動車バッテリーは韓日中企業間の競争構図で韓日バッテリー企業を排除して中国と競争するというのはあり得ない」としながら「脱中国戦略を推進する米国行政府に韓国バッテリー企業間の紛争は少なくない負担として作動したはずだ」と話した。

もちろんＬＧとＳＫの現実的な判断も働いた。米電気自動車市場は単一市場として中国の次に大きい。米国という巨大なバッテリー市場を攻略しなければならないＬＧやＳＫの立場で、米大統領と政府が働きかける合意文に対して署名しないわけにはいかなかったという分析だ。バッテリー業界関係者は「両社が韓国ではなく米国で訴訟戦に全力投球したのも、急成長する米国電気自動車市場を先行獲得するためのもの」と説明した。

ＬＧ・ＳＫのバッテリー“２兆ウォン合意”…バイデン氏「米国労働者・自動車産業の勝利」（２）