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【コラム】「在日コリアンの民族教育、日本人の問題でもある」

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2021.04.11 10:15
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3月初めに韓国に再入国した後、韓国で外国人として暮らすということは本当に大変なことということを改めて実感している。2002年に初めて韓国に留学した後、その後これまで合わせて5年半にわたり韓国に暮らしたが、いまのように暮らしにくいと感じたことはなかった。周りの韓国人はいつも親切でたくさん助けてくれるが、自立的に生きられない状況が苦しい。

まず外国人登録証発行まで時間がとても長くかかるという点だ。日本出国前に韓国領事館でビザを受け取った時に「入国後1カ月以内に外国人登録をしなければならない」と聞いた。入国して2週間の自己隔離期間に外国人登録申請をしに行くことはできなかった。隔離中に申請予約をしたが約1カ月後の4月1日が取れた。

 
予約日に合わせこの日申請に行きもう一度驚いた。外国人登録証を受け取れるのは6週間後の5月13日ということだ。以前は申請後10日ほどで受け取れた記憶がある。職員に「なんでそんなに長くかかるのか」と尋ねたところ、「留学生が多くて」と答えた。私が過去に申請した時もすべてほぼ同じ時期だったが、今年は特に留学生が多かったのか。新型コロナウイルスにより留学生は少ないと思っていたが意外だった。

◇外国人登録証なければ携帯電話開通できず

外国人登録証がないということは身分証がないという意味だ。パスポートはあるが住民登録番号に代わり外国人が使う外国人登録番号がないのだ。外国人登録番号がなければできないことが多い。

私は昨年7月末に日本に出国する際に外国人登録証を返却したが、再び韓国に来て暮らすつもりでこれまで毎月家賃も携帯電話料金もきちんと支払ってきた。ところが新型コロナウイルスで韓国に戻れなくなり日本にいる間に通信会社から「使用中の携帯電話は完全に出国した外国人の名義と確認された」という連絡がきた。近くビザを取って再び韓国に入国する予定なので少しだけ延長してほしいと頼んだが2月に強制的に解約された。

そのため5月13日に外国人登録証を再び得る時まで自分名義の韓国の携帯電話を持つことはできなくなった。韓国の携帯電話がなければ各種決済をはじめ不便なことはひとつやふたつではない。特に最近は新型コロナウイルスのためカフェや食堂に入るたびに韓国の電話番号が必要で、なければ外国人登録証を提示しろという。2つともない私はそのたびにわずらわしい状況になる。最近は友達名義の電話を臨時に使うことにした。

私はそれでも賃貸契約した家があり大丈夫な方だ。韓国で完全に新しく生活を始める外国人はさまざまな契約をしなければならないのに外国人登録証がなければ難しいことが多いだろう。

このように外国人の状況を詳細に書くのは外国人の声は伝える機会が少ないためだ。私が周囲に2カ月半も外国人登録証なく暮らしているという話をすればほとんどの韓国人は「なんで? 韓国は何でも速く処理するものと思っていたのに」と驚く。近くに外国人がいなければ知るよしもない。

最近東京大学博士課程に入ったある韓国人の知人によると、日本では長期滞在ビザで入国する外国人に空港で韓国の外国人登録証と似た「在留カード」を発行してくれる。入国審査場で2時間ほど待って発給を受けたという。入国後に住所地が決まれば管轄区庁に行き在留カード裏面に住所を記載すれば良い。

私が日本に住んでいた時にいくつかのことを契機に外国人の人権に対し敏感に考えるようになった。大学の国際交流サークルで活動し新しく来た留学生らと親しく過ごした。彼らが水道料金やガス料金などを契約する際に助けて外国人として体験する困難をしばしば経験することになった。大学院で通訳翻訳を専攻した時は実際に裁判所や警察で韓日通訳の仕事をした。当時韓国人の不法滞在など出入国管理法違反事件が多かく、その背景は多様だった。もちろん規則を破るのはいけないことだが、外国人が合法的に滞在しにくい日本社会の問題もともに知ることになった。通訳としては問題を提起することはできなかったが、朝日新聞入社後には在日コリアン関連問題や無国籍者の人権などに関し機会があるたびに取材した。

今回日本で過ごす時間が長くなり、東国(トングク)大学日本学研究所で必要な資料を日本で求めたり韓国の研究者の代わりにインタビューも引き受けたりした。日本学研究所が1979年に設立される時に資金を支援した在日コリアンの王清一(ワン・チョンイル)理事長にインタビューし、それに関する資料を収集した。王理事長は京都で生まれ育った在日コリアン2世の事業家だ。

昨年12月と今年1月の2回にかけて王理事長に会ったが、その時私にひとつの悩みを打ち明けた。王理事長は日本での在日コリアン民族教育にも努力してきた人で、京都国際学園理事長も長く務めた。京都国際学園はもともと1947年に京都朝鮮中学として始まり、1958年に京都韓国学園、2003年に京都国際学園になった。京都国際学園は中学校と高校があり、私が王理事長に会った時は高校の野球部が春に開催される選抜高校野球大会に初めて出場できるか発表を待っていた。

◇外国人の活動難しければ韓国にも助けにならない

日本の高校野球全国大会は夏に開かれる大会が有名だが、春の選抜大会もある。夏の大会は都道府県大会で優勝した学校が出場する。春の選抜大会は委員が決める。前年秋の都道府県大会や地域大会の成績で出場資格が与えられるため発表時まで出場できるかわからない。京都国際高校は昨年秋の近畿大会で準決勝に進出したため選抜される可能性が大きかった。

ところが王理事長は「校歌が韓国語になっていて選抜されないかもしれない」と心配していたのだ。試合中に両チームの校歌を、試合終了後には勝ったチームの校歌を流すが、全国大会の時はそれが全国に放送されるので問題になりかねないということだ。私は「校歌を日本語に変えれば出場できることになるならどうしますか」と尋ねた。王理事長は少し悲しい表情を浮かべて「それは変えなくては。選手たちがかわいそうじゃないか」と話した。

出場校リストは1月29日に発表された。私も気になってニュースを見たが、京都国際高校が選抜され、その瞬間王理事長が笑う表情が見えるようだった。

出場が発表されると日本でも韓国でも「校歌が韓国語」という事実が大きく報道された。その上初戦で逆転勝ちし「東海」で始まる校歌が甲子園球場に鳴り響きさらに話題となった。私もユーチューブで電光掲示板にハングルの歌詞が表示されるのを見て感動した。歌詞を日本語に変えることなく出場できることになり本当に幸いだった。

京都国際学園といっても韓国系学校という事実は分かりにくい。2003年に京都国際学園に名前が変わったのは学校教育法1条校として認可を受けた時だった。1条校はさまざまな優遇を得られるが、学校の名前から韓国が消えたのだ。王理事長は京都韓国学園開校50周年記念パンフレットで1984年に完成した本多山キャンパスについてこのように書いた。「在京都同胞の民族教育に対する情熱の歴史であり、民族差別撤廃の強い望みの歴史だった」。周辺住民たちの反対運動などにより建設がとても難しかったという。王理事長は「在日コリアンの民族教育は私たち在日コリアンだけの問題ではなく日本人の問題でもある」と指摘したりもした。在韓外国人問題もまた、韓国の問題だ。外国人が活動しにくくなるようにするのは決して韓国に助けになることではないだろう。

成川彩/元朝日新聞記者

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