「アストラゼネカ（ＡＺ）ワクチン、私も首相も打ちました」

権徳チョル（クォン・ドクチョル）韓国保健福祉部長官が８日午前、政府世宗（セジョン）庁舎で開かれた記者懇談会でこのように述べた。新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）のＡＺワクチンに対する国民の不信が高まる可能性があるという質疑に関するものだ。欧州医薬品庁（ＥＭＡ）は７日（現地時間）、「ＡＺワクチンと（まれに見られる）血栓症の関連性を確認した」と発表した。韓国疾病管理庁はこれに先立ち、６０歳未満のＡＺワクチン接種を暫定保留した。

権長官は「ＡＺワクチンは、安全性・有効性に大きな問題はない。ＥＭＡの発表を見ると、非常にまれな副作用で、特に血栓の問題があるというが、リスク要因の識別が不可能だという」とし、「ワクチン接種に利益がないというよりも、利益の方がはるかに大きい。私も打った後、一般的な免疫反応以外、特に問題はなかった」と説明した。専門家の諮問により、疾病管理庁でＡＺ接種を再開するというのが権長官の説明だ。

◆「４－６月期の接種物量支障ない」

韓国の４－６月期接種計画の相当数にＡＺワクチンが予定されている。他のワクチンで代替しようとしても物がない。４－６月期の導入が予想されたモデルナ・ヤンセン・ノババックスはまだ不確実だ。

権長官はこれについて、「モデルナ・ヤンセン側と継続してオンライン会議を行い、追加確保問題や導入時期の前倒しなどの議論を続けている。上半期１２００万人の接種計画は支障がないように、汎政府ワクチン導入ＴＦチームで入念に（導入量を）点検している」とし、「ノババックスの場合、技術移転を受けたＳＫバイオサイエンスが生産するが、（必要な）原・副資材は確保してある。ただ、まだ（英国医薬品・医療製品規制庁）の許可が必要な状況」と述べた。

ファイザーと先行購入分（１３００万人分）以外に追加物量を購入するための会議も準備中だという。権長官は、ロシアや中国製ワクチン導入は検討していないと線引きした。

◆感染確認者７００人に…「心苦しい」

７日午前０時基準で新型コロナの新規患者は７００人出た。１月７日（８６９人）以降、９１日間で最多だ。「第４波」が現実となった。一部の専門家は「最近の距離確保の緩和で防疫が崩れた」と指摘した。

これに対して権長官は「その部分は心苦しく思っている」としつつも、距離の確保を「ゴムひも」に例えた。権長官は「ゴムひもを引っ張った状態を持続させると切れる」とし、「防疫措置はその時の状況に応じて対処した。感染者数が減れば防疫措置の段階を下げたり、規制を緩和した」と説明した。

続けて権長官は「一律的な距離確保の段階引き上げはよく守った国民や業種をすべて等しく規制する。これにより、疲労感が増して経済に（少なくない）影響を及ぼすことになる」とし、「ただ、ワクチン予防接種の効果を出すためには、防疫措置も並行されなければならない。７００人からこれ以上広がらないように防疫措置を最大限実効性を持って国民参加が可能になるようにしようと努力中だ」と付け加えた。

４００人台の新規患者発生が１カ月近く続いた後、最近、より大きな拡散傾向を見せているが、幸いなことに致死率は増加しなかった。また、重症患者が増えず、病床も今は比較的余裕がある。

新たな距離確保再編案の導入基準を緩和するという意味にも映った。権長官は「今までは感染者数が安定化（全国２００人未満）すると、改正案を適用すると言ったが、実施時期は検討する」と述べた。

◆国民年金リバランス…資本市場に変化

国民年金公団は９日、基金運用委員会を開き、国内株式投資許容範囲を調整するかどうか議論する。リバランスだ。しかし、基金委は毎年５月に翌年度の資産投資比率を確定している。このため、国民年金が「東学アリ（国内の個人株式投資家）」をなだめようとしたのではないかという指摘が出ている。大規模な株式投資家の国民年金の売却が少なければ価格下落が少ないという見方からだ。

権長官は「これまで資本市場の規模や変動幅が大きく変わったが、リバランスは１０年間の調整が行われず、維持されていた」とし、「その部分に適合するようにリバランス規模を調整しようという基金委内の提案があった。前回、賛否が非常に拮抗した。決定できず、９日に委員会を開くことになった。今後を考えても調整が必要ではないかと思う」と述べた。

このほか、ワクチンパスポート導入については、時期尚早とした。世界的にも一部の国を除いて接種率が低いためだ。実効性がないという意味だ。