上と底、その表現は引っかかる。「上は澄み始めているが、底にいけば誤った慣行が多く残っている」という発言がそうだ。与党・共に民主党の李海チャン（イ・ヘチャン）元代表が親与メディアで述べた言葉だ。韓国土地住宅公社（ＬＨ）職員の投機事態を念頭に置いた言葉だとしても、彼の潜在認識が見える。自身を含む上流人生は透明だが、底の下流人生は混濁しているという意味と聞こえる。彼は「そこまで直すには再執権しなければいけない」と述べた。下を訓育するという運動圏出身政治家の道徳的優越主義が漂う。

民主化への寄与と不十分な礼遇、その選民意識は傲慢だ。ソル・フン共に民主党議員ら７３人が民主有功者礼遇法を発議したが、４・７補欠選挙を意識したのか一時的に後退した。維新反対運動と６月抗争に参加した運動圏の人たちを有功者に指定し、子どもにまで教育・就職などを支援するというものだ。「民主化に貢献した人に相当の礼遇をする」というのが名分だ。運動圏が法を作り、セルフで有功者になり、その特恵を子どもにも相続するという流れだ。「貢献のない大衆」と自分たちを差別化し、土着倭寇と戦った独立闘士隊列に昇華させるという自己陶酔が感じられる。

運動圏神話が我々の社会を支配する。この国の民主化がもっぱら運動圏の闘争と犠牲のおかげで成就したという英雄神話が広がっている。神話は無誤謬のオーラを構築する。正義の使徒が崇められ、大衆は師の追従者に転落する。そのような幻想の世界で上と底は清浄と汚染に分けられる異なる階級で、特権と反則は礼遇に化ける。

運動圏が多数布陣した青瓦台（チョンワデ、韓国大統領府）の風景がそうだ。大統領は慶尚南道梁山（ヤンサン）に営農経歴「１１年」と記入し、形質を敷地に変えて邸宅を建てながらも、農地投機取り締まりを他人事のように話す。青瓦台ナンバー２だった任鍾ソク（イム・ジョンソク）元秘書室長は「朴元淳（パク・ウォンスン）前市長がそれほど悪いのか」として今でも被害者に２次加害をしている。金尚祖（キム・サンジョ）前政策室長は自分のマンションの保証金を引き上げておきながら借家人保護を平気で叫ぶ。再開発投機で退いた金宜謙（キム・ウィギョム）元報道感は国会議員に栄転した。「澄んだ上水」とは距離があるが、問題意識はない。

李海チャン元代表は世宗市（セジョンシ）で農地の一部を敷地に変え、地価が４倍上がったという。この土地の近くに「偶然にも」高速道路の出入り口ができる。賃貸借保護法改正案を代表発議した朴柱民（パク・ジュミン）議員は法案通過の１カ月前、自分のソウルのマンションの賃貸料を大幅に引き上げた。汚水が与党を流れる。

卞彰欽（ビョン・チャンフム）国土交通部長官は金海（キムヘ）新空港の推進をやめて、加徳島新空港を推進すると発表した。「貧しい人々が正気で外食すると思うか」という彼が、２８兆ウォン（約２兆７０００億円）があふれるから金になる土地をつかめと投機をあおる格好だ。予備妥当性調査を免除した９７兆ウォンの土建事業は大きな投機場所ができたという信号だ。高位公職者の半分は土地を保有している。にもかかわらず投機との戦争を話す。ＬＨ職員の逸脱は学んで真似た模倣犯罪であり得る。公共機関に数え切れない天下りをし、雇用に苦しむ青年を心配しているふりをする。これが与党・政府・青瓦台の上水の醜い自画像だ。

この政権の主流である８６運動圏は５０・６０世代に属する。彼らが大学に通った当時、運動を通じて政治的な社会変革を夢見る人たちと、企業に入って裕福な西欧の民主社会に追いつこうとした人たちが入り混じっていた。育った環境、交わった先輩や後輩によって運命が分かれた。エリート運動圏は民主化勢力という勲章を付けて政治家になった。開発途上国の貧しいセールスマンは世界を飛び回って３万ドルの先進国に引き上げたが、朴正熙（パク・ジョンヒ）時代の遺物のように産業化勢力に引き降ろした。

広い世の中を経験した産業化勢力は左派でも右派でもなく、保守でも進歩でもない。理念偏向性が浅い実用的合理主義者が多い。厳酷な時代、運動圏の人たちが経験した苦難を知るため、負債意識を感じる廉恥がある。過大包装された運動圏の資本を前に出して国会と青瓦台と政府の要職を独占しても、運動の純粋性を信じようと譲った。その結果として返ってきたのは偽善とネロナムブル（＝私がすればロマンス、他人がすれば不倫）が入り混じった惨憺たる現実だ。米国務省人権報告書がチョ・グク、朴元淳、呉巨敦（オ・ゴドン）、金弘傑（キム・ホンゴル）、尹美香（ユン・ミヒャン）のセクハラや腐敗を非難しても恥じない無感覚な権力だ。

歪曲された神話を崩す時になった。１９８７年６月の抗争も運動圏がすべてしたように潤色された。朴鍾哲（パク・ジョンチョル）拷問致死事件を明らかにした勇敢な記者ら、李韓烈（イ・ハンヨル）烈士の死、ネクタイ部隊などがなかったとすれば成功しなかった。李秉チョル（イ・ビョンチョル）、鄭周永（チョン・ジュヨン）が労働者の血と汗なしに一人でこの国の経済をおこすことができなかったように。２０１６年冬の「ろうそく」も怒った市民の熱望が咲かせたものだが、果実は運動圏が独占した。

「シャイ進歩」「シャイ保守」はない。退歩と年上の人を拒否する合理主義者が支持を得る現象にすぎない。民主化の腕章に臆して「選出された権力」の暴力に無気力だから見下げる。ジョージ・オーウェルは言った。「誰もが嘘をついたりだましたりしている時代に、真実を述べるというのは革命的な行動である」。「我々は底の下流人生でない」と叫ぶことがその第一歩だ。

コ・デフン／首席論説委員