日本は米大統領選挙の結果にともなう予想シナリオをめぐり損益計算に奔走している。トランプ大統領が再選する場合、在日米軍経費をめぐる増額圧迫など議論事案が続くとみており、民主党のバイデン候補が当選すれば世界的に遅れを取っている現在の環境政策の大転換を要求されかねないと観測した。

毎日新聞は４日、「トランプ氏の再選時は日米関係に大きな変更はない」としながらも、「在日米軍駐留経費の根拠となる特別協定で日本側の負担増を要求される可能性がある」と予想した。米軍の日本駐留にともなう両国間の「在日米軍経費負担に関する特別協定」は韓国の在韓米軍防衛費分担金と似た概念で、５年ごとに更新され来年３月に期限満了を控えている。

この予算案を来年度に編成するためには年内に交渉が完了しなければならず、日本政府は先月中旬に米国と最初の会議を開いた。日本政府は２０１６年から５年間に在日米軍経費として総額９４６５億円、年間１８９３億円ほどを負担することにしている。

だがトランプ大統領が２０１６年に当選してから米政府は韓国に続き日本にも駐留米軍に対する分担金増額を要求している。トランプ大統領は日本が現在より４倍以上の費用を出すよう望んでいるという。

毎日新聞は、バイデン氏が当選する場合、気候変動問題などでの大幅な政策転換に備える必要があるとみた。２０１８年基準で世界の二酸化炭素排出量順位で日本は５位を占めるほど国際的な脱炭素化の流れに遅れを取っている。菅義偉首相は先月２６日の国会演説で「２０５０年までに炭素排出ゼロを達成する」と明らかにしたが、ワシントン・ポストはこれをバイデン氏の当選を意識した発言と解釈した。

産経新聞はバイデン氏の当選だけでなく大統領選挙とともに行われる連邦議会選挙で民主党が勝利する場合、自動車業界への打撃が避けられないと観測した。炭素排出基準強化など環境政策転換もあり電気自動車（ＥＶ）分野の後発走者である日本メーカーが米市場で苦戦しかねないという意味だ。

日本メディアは過去の米大統領選の経験のため日本政府が慎重な立場を取っているとも伝えた。毎日新聞は前回の米大統領選で多くの国がヒラリー・クリントン候補の勝利を予測したが、日本は他の国と違いトランプ大統領側との人脈構築に腐心したとし、「こうした前例もあり、日本政府は選挙戦を慎重に見極めている」と報じた。

菅首相はこの日衆議院予算委員会に出席し、「予断は差し控えたい」と言葉を控えた。麻生太郎副首相兼財務相は「オハイオ州では結果が出るまでにかなり時間がかかると聞いている。その影響がどういう形で出てくるのか、ちょっと予想がつかない」と話した。開票結果確定が遅れる場合に金融市場が受ける影響に関してだ。加藤勝信官房長官は結果確定が遅れる場合を前提に、日本政府がいつ当選者に祝意を伝えるとの質問に「コメントは差し控えたい」とし、「適切なタイミングで伝達する」と答えた。