大韓航空が、カナダで婚姻届けを出した韓国国籍の４０代女性「同性夫婦」を家族顧客に認定した。韓国航空会社の中では初めてだ。１２日、大韓航空によると、この同性夫婦は今月９日に大韓航空「スカイパス」のファミリープラン（家族マイレージ合算）を申請し、その翌日に承認を受けた。本人のマイレージを使って登録された家族に特典航空券を購入することができるほか、家族のマイレージを合算して特典航空券の購入に使うことができる。

家族を登録するために、韓国では「過去６か月以内に発行された住民登録証または家族関係証明書のうち、家族関係ならびに申請者と登録する家族の生年月日が記載されている公的書類」を提出しなければならない。韓国内では同性結婚が認められていないため、同性カップルは家族登録が難しいということだ。だが、今回の場合には同性結婚を法的に認める海外で発給された婚姻証明書があったため可能だった。

該当の同性夫婦は「アコンネカップル」というブログを運営している。２人は「家族会員になるためにカナダで２０１３年に発行してもらった婚姻証明書と、先日発給された２０１８年米国税務報告夫婦合算申告書を提出した」とし「韓国は同性夫婦を認めていないので私たちには無理だろうと思いつつ申込みをしたが、一日も経たずに家族登録が完了したとの通知が来た。世界人権デー（１２月１０日）のプレゼントなのだろうか」と説明した。

大韓航空側はこれについて「大韓航空は個人の性を区分したり差別したりする規定を設けていない」とし「各国家の関連法に基づき、家族関係が認められれば登録している」と説明した。「同性結婚を認める米国やカナダで同居人証明書とともに事実婚姻状態を立証する公式書類を提出すればよい」というのが大韓航空の説明だ。現在、オランダ・ベルギー・スウェーデン・台湾など約２０カ国が同性結婚を法的に認めている。

これに先立ち、韓国内「同性夫婦１号」を宣言したキム・ジョグァンス監督は２０１７年に「アシアナ航空に同性カップルであるキム・スンファン氏とのマイレージを共有できるように力を貸してほしいと言ったところ、規定上難しいと言われた」とし「家族関係登録簿上、家族として登録できないため、そうしてあげたくてもできない」と明らかにした。これに関連し、アシアナ航空側は「（大韓航空の事例のように）家族関係を証明する書類があるなら可能だ」と説明した。

今後、他の同性夫婦のマイレージ合算申請が増える見通しだ。また、伝統的な家族形態ではない家族に対する制度的基準づくりが必要だという声も高まっていくことが予想される。同性結婚の許容を主張する市民団体は「同性夫婦のように実質的保護者の役割を果たす関係が法的家族としては認定されず、各種社会システムから疎外されている状況を改善しなければならない」と主張してきた。

たとえば、現行医療法上、身体に重大な危害が生じる可能性のある手術などを行う場合、医師は患者本人または法定代理人の同意を受けなければならない。この時、法定代理人は法律上夫婦・両親・子女・親戚などに限定される。同性配偶者の同意は現行法上認められないということだ。この外に、住宅支援・健康保険・年末精算などの恩恵でも差別を受けているというのが市民団体の主張だ。

成均館（ソンギュングァン）大学社会学科のク・ジョンウ教授は「同性結婚を法的に認めなくても同性配偶者を一種の生活パートナー関係と認定し、社会的保護や恩恵を提供する国家が増えている」とし「韓国社会の雰囲気上、同性婚合法化までには時間はかかるだろうが、彼らの人権を保障するという次元で法的『運用の妙』を発揮できるものと期待される」と話した。