中国の李克強首相が１４日、陝西省西安のサムスン電子半導体工場を電撃的に訪問した。サムスンの関係者によると、中国国務院は前日に李首相のサムスン視察計画を伝えてきたという。

黄得圭（ファン・ドゥクギュ）中国サムスン社長の案内で半導体工場を視察した李首相は「中国の対外開放の門は開くほどさらに大きくなる」と述べた。中国の確固たる開放の意志を表したのだ。トランプ米大統領の保護主義や一方主義に反対するという意味が込められていた。

中国政府網によると、李首相は「中国市場は非常に広く、産業が現在の中低レベルから高付加価値分野に進んでいて、巨大なビジネスチャンスが広がっている」と主張した。また「我々はサムスンを含む各国先端企業の持続的な中国投資を歓迎する」と述べた。

李首相は「我々は知的財産権を厳格に保護し、中国に登録されたすべての国内外の企業を同等に待遇する」と約束した。さらに「サムスンと中国の長年の協力がこれを十分に証明する。先端分野の技術協力は必ず大きな見返りがあるはず」と述べた。

中国政府網は、サムスン電子の唯一の海外メモリー半導体生産基地の西安工場にはすでに１０８億７０００万ドルが投資され、今後、投資総額は１５０億ドルに達するという説明もした。李克強首相が電撃的にサムスン工場を訪問し、変わりない対外開放と知的財産権の保護、見返りなどを約束したのは、最近の米中貿易戦争の渦中で中国が責任を果たすことを示すためと分析される。

それだけ中国の経済状況が良くないという傍証でもある。李首相はこの日、西安で陝西省はもちろん、河南省、胡北省、広東省の省長を呼んで経済状況座談会を開いた。

李首相はこの席で「今年は世界の経済成長が減速し、国内の経済もいくつかの挑戦と困難に直面している」とし「現在、中国経済には下方圧力が強まり、実物経済の困難が浮き彫りになっている」と診断した。このため「緊迫感と責任感を持って自らのことからうまく進めるよう全力を注いでほしい」と注文し、特に「発展を最も重視すべき」と指示した。「マジノ線の意識を強化すべき」とも話した。切迫感を抱いて発展を促すほど中国経済が厳しいということだ。

李克強首相はこの日、中国式ハンバーガーと呼ばれる肉夾モーを売る店を訪れて豚肉価格の動向を尋ね、中国の各級政府は豚肉価格の安定と円滑な需給のために最善を尽くしてほしいと指示した。