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【コラム】今回の韓国経済危機がはるかに不吉である4つの理由(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.09.19 10:36
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文在寅(ムン・ジェイン)大統領が16日、「我々の経済は困難の中でも正しい方向に向かっている」と述べた。大統領は「2年間にわたり雇用政策を着実に進め、雇用状況が量と質の両面で明確に改善している」と自慢した。しかしまたも根拠のない自信で社会の怒りを買う格好になってしまった。目を少し大きく開けば、家計・企業など主要経済主体が苦痛で悲鳴をあげているのが見えるからだ。国内外の大半の経済分析機関も韓国経済の暗い未来を予告している。

韓国開発研究院(KDI)は6カ月連続で「対内外の需要が委縮して全般的に経済状況が不振」と診断した。ここで需要とは企業の投資、家計の消費、そして輸出をいう。輸出はすでに半導体と石油類を中心に9カ月連続で前年比マイナスとなっている。設備投資も今年に入って4.7%減少した。さらに消費者心理指数(CSI)までが92.5(8月)に下がり、家計の消費までが冷え込む兆候が表れている。今年の経済成長率予測値の平均は2.5%(1-3月期)→2.2%(4-6月期)→2%(7-9月期)と、3カ月ごとに下方修正されている。成長・消費・投資・輸出のどれ一つ良いものはない。四方に不吉な兆しが見られる。

 
特に先月の消費者物価は前年同月比0.04%下落し、緊張感は高まった。1965年以降初めてマイナスになったからだ。政府は「原油安と農産物出荷増加など供給要因による一時的な現象」とし「需要不振で誘発されるデフレーション状況でない」と主張した。しかしすでに世界的に低成長と物価安が「ニューノーマル」になっている。韓国経済も例外ではない。しかも韓国は米中貿易紛争、日本輸出規制という超大型悪材料に露出している。

いつのまにか「R(リセッション=景気低迷)の恐怖」 「D(デフレーション=物価下落)の恐怖」が普通名詞化している。韓国銀行(韓銀)の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が「最悪の状況」を想定した非常対策(コンティンジェンシープラン)の準備を指示したのも、こうした危機感のためとみられる。専門家らは「今回の経済危機は過去に比べて4つの理由ではるかに危険な兆候」と口をそろえる。

<1>慢性無気力症+複合骨折

今回の低成長と物価安は単なる景気循環サイクルによる調整ではない。第4次産業革命、高齢化と生産人口減少、世界的な供給過剰、過去最大の家計・政府債務などが複合的に絡んだ構造的な問題ということだ。すなわち、経済成長板が閉じて慢性無気力症が始まったということだ。長くみて60年近く膨張してきた韓国経済が初めて収縮局面に入ったのだ。

さらに過去の経済危機が外部の衝撃による打撲傷だったとすれば、今回は内部で起きた複合骨折までが重なった。低成長、投資減少、消費委縮など全般的な経済エネルギーが枯渇する雰囲気だ。政府が過去最大の財政投入をする状況でこうした全方向的な収縮が起きたというのは尋常でない。韓国が「日本化(Japanization)」に伝染したのではという懸念が強まるのもこのためだ。すでに韓国は20年の差を置いて日本の経済成長率急落、急速な高齢化をたどりつつある。

日本は「失われた20年」の間、低成長・低金利・低物価の「3重苦」を経験した。低成長よりも怖いのが物価安の恐怖だ。物価が下がれば投資をしても利益が残らないため、いくら金利が低くてもお金を借りない。このため投資不振→企業の業績低下→賃金減少→家計の消費委縮→低成長という悪循環に陥る。日本の経験からみて、ひとまず3低の泥沼に落ちてしまえば「百薬無効」となる。政府がいくら短期景気浮揚策を出しても大きな効果は得られない。

<2>頼れる国はない

1997年の通貨危機当時は米国、日本、欧州、中国の経済が支えた。実際、「金集め運動」は内部のイベントにすぎなかった。韓国が2年ぶりに通貨危機から抜け出せた本当の原動力は、ウォン安で対米・対中・対欧州輸出が急増したことだ。2008年のグローバル金融危機当時も同じだ。米国経済はふらついて、欧州は財政危機で不安定だった。しかし中国が中央政府の4兆元(800兆ウォン)、地方政府まで合わせて計18兆元(3600兆ウォン)を投入した超大型景気浮揚策で持ちこたえたのが決定的だった。李明博(イ・ミョンバク)政権は韓米通貨スワップ締結を自慢するが、基本的に中国特需で韓国経済はグローバル金融危機を乗り越えることができた。

今回は当時のように頼れるところがない。世界経済が減速している。米国と通商紛争中の中国は李克強首相が「もう6%台の高速成長を持続するのは容易でない」と公式的に認めた。ポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大教授は「米中紛争が深刻になれば中国経済が危機を迎えるティッピングポイントになるかもしれない」と警告した。欧州経済もフランスだけが一時的な好況を迎えているだけで、ブレグジット(英国のEU離脱)を控えて委縮している。米国も完全雇用による賃金上昇→家計の所得増加→消費増加→高成長の好循環が途切れる兆しが表れている。さらに長短期金利逆転で景気低迷までが予告されると、トランプ大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)に対して「政策金利を1%引き下げるべき」とし「私にはパウエルFRB議長を解任する権限がある」と脅迫している。

保護貿易が強まり、グローバル経済の柱だった世界貿易機関(WTO)と国際通貨基金(IMF)は機能不全に陥った。通貨安戦争にも火がつく雰囲気だ。このように生存競争をするジャングルに変わるほど、小規模開放経済の韓国は現実的な接近で生き残りを図る必要がある。にもかかわらず「二度と負けない」と言って日本との全面的通商戦争に入った。


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